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うずたかく土が積み上げられた和住の土捨て場(香美市土佐山田北滝本) |
香美市土佐山田町北滝本の土捨場(和住工業所有)に、低レベル放射性廃棄物(※)処分場を誘致する動きが出ている問題で、ここに処分場ができた場合、川下への多大な影響、直近の活断層など、放射性廃棄物を埋めるのに適さない場所であることが明らかになっています。
■国分川水系へ分水
国道32号線を高知市から北上して根曳峠を登ったところが北滝本。右手の高知自動車道の脇に谷を埋め盛り上げた巨大な土捨場が放射性廃棄物処分場の候補地です。
この場所は吉野川支流穴内川の直近で、排水は穴内川に流入。穴内川のすぐ下流には繁藤集落が。県民には1972年の土砂崩れによる大災害が忘れられない場所ですが、この土地は天坪(あまつぼ、雨の音がが変化したと言われている)と呼ばれるほど局地的な豪雨に襲われる土地です。穴内川は大豊町で吉野川に合流。下流の景勝地として知られる大歩危・小歩危や、ラフティングなどリバースポーツに与える悪影響は小さくありません。
また穴内川の水は、繁藤ダムから別水系の国分川へ分水され(四国電力が平山・新改発電所の発電に使用)、さらに香長平野の農業用水、旧土佐山田町民の飲料水にも利用されるなど、放射性廃棄物を埋設後300年間も管理する場所としては全く適さない場所です。
■活断層の存在
低レベル放射性廃棄物処分場の候補地を全国で探している財団法人原子力研究バックエンド推進センター(RANDEC)は2月24日、同センター職員2人、大林組社員2人、和住工業社員とともに現地調査。この時にRANDEC立地推進部長は「近くに活断層があるので技術的には懸念される。盛り土のところではなく南側の岩盤に7メートルから10メートルの穴を掘って保管する」と所見を述べています(笹岡優・香美市議の調査による)。
断層研究会編・財団法人東京大学出版会発行の「新編日本の活断層」によると、候補地の直近に確実度Vの活断層が記載されています。確実度Vは相対的には危険の低い区分けですが、高度にリスキーな廃棄物を埋める場所としては最悪の場所と言えるでしょう。
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(写真上)穴内川繁藤ダム付近の取水口 穴内川の水は繁藤ダムから国分川水系に分水されている (写真下)穴内川からの水を市民に供給している香美市の八王子浄水場 |
■不確かな手続き
RANDECによる説明会は北滝本地区の住民が対象でしたが、香美市や県に連絡は一切なく、市や県がこの問題を知ったのは香美市議会での指摘と報道によるものでした。住民に大きな影響のあるこのような問題を自治体に知らせない手法に香美市議会では強い反発が出ており、門脇槙夫市長も不快感を示しています。
放射性廃棄物への対応セクションを持たない県は、資源・エネルギー推進課で対応することになり、現在情報収集中。国の許認可と県の関わりについて村山龍一課長は「施設の許認可権は国にあるが、原子力協定締結など地元自治体、県の同意は必要で県も関与することになる。ただどのような協定をどこで結ぶのかという細かいことは、まだ決まっていないようだ」。医療研究機関から出る低レベル放射性廃棄物処分について国による枠組み整備はこれからという状況です。
※低レベル放射性廃棄物 研究機関や医療機関など放射性同位元素使用施設や研究用原子炉から出た固体や汚染水などの廃棄物を土中に埋める施設。放射能に汚染された廃棄物を焼却・圧縮してドラム缶につめ土中に50年間かけて埋設。放射能が消えるまで300年間の管理が必要とされている。 |