2006年4月16日

6月スタート どうなる駐車禁止確認の民間委託 件数稼ぎ、民衆の警察化の懸念も 

こうなるとショックは大きい・・・
道路交通法改定により全国的に駐車違反の確認事務を民間委託できるようになったことから、高知県警察本部でも6月から高知署・高知南署管内で民間委託をスタートさせることになっています。民間委託の仕組み、県民への影響や、課題について調べました。

県警は民間委託導入の理由として、駐車違反の確認事務を民間委託することにより警察本来の仕事に集中するためと言っています。平成18年予算として計上されているのは、違反者への文書発送のために県警に非常勤職員を2人増員(約355万円)、デジカメなど取り締まり用の機器購入(253万円)、5人役の委託料(1951万円)、親展ハガキ作成機(118万円)の総額2861万円。このうち民間会社に支払われるのは年間1951万円の委託料ということになります(※4月10日に入札が行われ南四国総合警備保障(株)が1400万円台で落札)。

2人1組2ユニット

委託の最低仕様は駐車監視員4人と総括責任者1人の5人ワンセット。巡回は2人以上が組となり2ユニットで行います。監視員はウグイス色の上着に紺色の腕章を巻いた服装。みなし公務員となり公正な取り締まりや守秘義務が課せられます。
駐車監視員のマーク
 具体的には違反車両を発見するとデジタルカメラで撮影し、専用の携帯端末にデータを登録。確認標章を車両に貼り付けて、再度写真を撮り、巡回終了後に端末に記録したデータや写真を警察署のコンピューターに転送するというのが作業の流れ。

県民からの通報や苦情を受け付け監視員を指示する総括責任者は警察内に置かれるのではなく、民間会社の事務所をそのまま使用。取り締まり用車両にも特に定めはなく「駐車監視員であることを表示していれば何を使ってもよい。ピザ配達用のようなバイクでも可能(県警交通部交通指導課)」と、従来の警察による取り締まりとはかなり様相の異なるものになります。活動時間とエリアは4月27日に公表される予定ですが、5時から22時、高知市の市街地が対象になると思われます。

件数稼ぎの懸念

6月スタートを前に、民間委託をすることにより、取り締まり件数を増やすことを目的にした「件数稼ぎ」になることを懸念する声が各方面からあがっています。
県警交通指導課は「出来高払いではなく、巡回量に応じて委託費を計算するようになっており成績主義にはならない」としていますが、結局受託した民間会社は、「実績」を示すのは件数以外になく、契約の更改時に自社に有利にしようとして「件数稼ぎ」をする懸念は依然残ります。

また県警では、この機に違法駐車の取り締まりを強化する方向を強く打ち出しています。「道路を平気で私物化するようなこれまでの考え方は改めてもらわなければならない。許されるのは荷物の積み卸しのための5分間だけ(交通指導課)」と取り締まり強化を強調。「件数稼ぎ」と、取り締まり強化の流れの中で、摘発数が大幅に増加することが予想されます。ドライバーの方々はくれぐれも違反の無いように。

解説 駐車違反確認事務の民間委託は、違反取り締まりという警察権力の行使を、一部ではあっても民間に下請けさせることであり、今後の警察のあり方の根本に関わる本質的な問題を含んでいます。警察権力の民間下請化が広がり「民衆の警察化」が進行していくことは、生活安全条例や無原則な監視カメラ設置などと同様、住民が権力機関の下に組み込まれていく社会へと流していく危険を孕んでいます。今回の民間委託を単なるアウトソースだけとして捉えるのではなく、今後の流れをしっかり注視しておく必要があります。