2006年4月9日

産廃業者が合併の隙突き動き活発化 ストップへ鍵握る土地環境保全条例 香南市 

破線が市村の境界 計画地はモロに芸西村民の水源になる

高知市中万々の民間業者・高知リサイクルセンターと高知環境クリーン(双方とも経営者はK業者)が、香南市(旧夜須町)と安芸郡芸西村の水源地に、安定型と管理型の産業廃棄物最終処分場建設を計画していることが大きな問題になっていますが、この業者が県や旧夜須町の抵抗により一時ストップしていた開発への動きを3月に香南市が合併発足した直後から再度活発化させています。

産廃が計画されているのは手結山から北東に伸びる稜線(羽尾方面への林道が走る)から東南(芸西村側)にやや下った谷筋。旧夜須町分ですが、芸西村の和食川源流域で、すぐ下流にはに芸西村瓜生野地区の集落や簡易水道の水源、県が建設にとりかかっている和食ダム(飲料水を含む多目的ダム)の貯水池も計画されている場所です。

3つのハードル

この業者は、坂本龍馬一族の墓で知られる高知市丹中山の墓地を無茶苦茶なやり方で開発してきた経歴を持っていることもあり、村民は「芸西村を第二の豊島にするな」と産廃計画に猛反発。中学生以上の村民の99・5%にあたる3798人の署名を集めて9月県議会に建設反対を請願し、全会一致で採択。県と旧夜須町も住民の声に応えるため懸命の努力をしてきました。

業者が開発許可を得るためには以下の3つのハードルをクリアする必要があります。@夜須町土地環境保全条例による住民合意、A廃棄物処理法による県の許可と県産廃処理指導要綱による事前協議(地元合意を義務付け)、B県森林局の林地開発許可。

B林地開発許可とは、森林法に定められた森林を他の目的に転用するための許可のこと。同法の考え方は開発を規制するのではなく、基本的に「許可しなければならない」というものであり、歯止めになるものではないのが実態です。「最低限の審査しかできない。住民の気持ちはよく分かっているが、申請が出てくれば許可せざるを得ない(県森林整備課)」。

A廃処法も「一定の要件が整えば許可しなさいという法律。そのため県が要綱を設置して指導している(吉良正彦・県廃棄物対策課長)」。現在県は、県産廃処理指導要綱に基づいて業者と事前協議に入っており、旧夜須町の土地環境保全条例をクリアするために地元の合意を得るよう強く勧告しています。

橋本大二郎県知事は「芸西村民の90%以上の署名は重く受け止めている。関係市町村の合意なしには許可はしない」と不許可の構えですが、要綱は強制力に乏しいため、業者側が訴訟を起こした場合には不許可決定が覆される可能性もあります。

訴訟臭わせ圧力

そこで最も重要になってくるのが@旧夜須町の土地環境保全条例。同条例は3月1日に合併発足した香南市に専決処分で引き継がれており、開発には香南市の同意が必要となります。業者は訴訟をちらつかせ発足直後の同市にプレッシャーをかけてきています。

現在、香南市は合併直後であることから市長も市議会も存在していません。4月16日の選挙で選ばれる新しい市長と新市議会が住民と一体となって毅然とした対応を取らなければ、つけ込まれかねません。この問題への対応は市長選・市議選の重要なテーマの一つであり、新生・香南市の住民自治発揮への大きな試練といえます。