2006年4月2日

「解同」に要請され高知市部課長が「人権侵害救済法」制定決起集会(東京)に公費参加 デモ行進も 理由は「情報収集」?
「解同」から送りつけられてきた参加要請
7月25日の行動を報じる雑誌「部落解放」2005年9月号
部落解放同盟が執拗に求めている人権侵害救済法制定を要求する東京での示威行動に、高知市の部課長が公費で出張して参加していました(2005年5月、7月)。当時は政府与党が人権擁護法案の国会提出を断念した時期で、この行動は与党に圧力をかけ、法制定を迫る政治的目的を持った大衆行動です。人権擁護法案は、「差別」を一部団体や国家権力が恣意的に取り締まることにつながるという懸念が噴出し、国民の中でも制定すべきか否か大きく意見が分かれていた問題にもかかわらず、政治的中立が求められる行政が、税金を使って同和運動団体の大衆行動に幹部を派遣するという言語道断のことが高知市で行われていたのです。同問題は高知市議会3月定例会で下元博司議員が一般質問で指摘しました。

市幹部が公費で参加していたのは、@5月23日に東京星陵会館で開かれた「2005年度部落解放・人権政策確立要求第1次中央集会」。全体で730人が参加し「人権侵害救済法の今国会での制定を」求めて集会後は国会要請行動に取り組みました。西森孝・市民生活部長が公費で参加。

A7月25日に東京日比谷公会堂で開かれた「同3次中央集会」。こちらは全国から2600人が動員された大規模な行動で、国会まで同法制定を求めデモ行進も実施しています。こちらには同和対策課長、人権啓発課長の2人が公費で出張し、デモ行進にも参加しました。

3月15日の市議会本会議で指摘を受けた岡崎誠也市長は、「情報収集のために参加した。集会には共産党をのぞくすべての政党が参加している」と税金を使っての集会参加を正当化しましたが、市民の納得を得られるものではありません。

「解同」からの要請

高知市がこの行動に参加したのは「解同」側から要請があったから。2005年7月7日付で「解同」県本部は野島達雄県連委員長名で「2005年度部落解放・人権政策確立要求第2次・3次中央集会の連続開催について(参加要請)」(写真参照)という文書を県人権課、県教委人権教育課、高知市などに送りつけており、高知市の2人の課長は、この要請に応える形で派遣されています。

一方で同じように要請文を受け取った県人権課と人権教育課は職員の派遣はしていません。「運動団体の集会に人を出すことはしない(人権教育課)」。県の対応は行政としてごく常識的なものですが、高知市と比べると違いが際だちます。高知市は「情報収集」ということを盛んに強調していますが、説得力に乏しいものです。

そもそもまだ制定もされていない「人権擁護法」を、地方の市役所が、多忙な幹部を丸一日つぶして高額な費用をかけて派遣する必要性がどこにあるのでしょうか。情報収集というなら
同じ集会に2人も行く必要性はありませんし、一運動団体の集会に参加して得られる程度の情報であれば「解放新聞」や「解同」中央本部のホームページで得ることが可能。法制定に熱心な国会議員に電話でもしたほうがずっと濃い情報が得られるはずです。人数合わせに動員されたのではと言われてもしかたがないでしょう。

県下唯一の同対課

高知市は同和対策の特別措置法が完全に失効してから5年間が経過した今でも県下で唯一「同和」の名が付く「同和対策課」を残している特異な自治体で、今年1月22日には部落解放同盟高知市連絡協議会臨時大会に5人の部課長がゾロゾロと出席していたことも明らかになっています。

高知市政では今「特定市民」、「特定業者」の圧力に屈して特別扱いをする不公正な体質を根本から是正することが急がれていますが、真の改革を推進するためには部落解放同盟という「特定団体」との癒着した関係を断ち切ることが避けて通れない緊急の課題になっています。