2006年3月26日

橋本知事「夜学べる社会人教育機能なくすつもりない」 新県立大夜間開講に前向き 廃止路線を一定修正か 

月16日 知事室

県がすすめている県立高知女子大学と高知短期大学を統合して新しい県立大をつくる「県立大学改革」の中で、これまで高知短期大学(夜間2年制)が果たしてきた社会人教育機能を引き継ぐことを求めて高知短大の学生・OB25人と橋本大二郎県知事が16日に懇談しました。この中で橋本知事は「夜間に学べる場、高校でつまづいた経験を持っている人、様々な世代の人が一緒に学べる場はすべて残していくべき。この機能がなくなることはありえない」と繰り返し述べました。

懇談では「高知短大問題を考える学生の会」代表の豊永大地さん(26歳1回生)が」「働きながら学べるという高知短大の役割は終わっていない。貴重な存在だ。県はもっと短大の存在をアピールしてほしい。知事に講義してもらいたい」とあいさつ。学生が口々に学生生活の経験を報告しました。

「中学の時不登校になり高校は通信制だった。様々な年代の人と学び視野が広がり、もっと勉強したいと思うようになった。4月から日本福祉大に編入が決まった。高知短大にきていろんな経験ができた。本当に良い学校(専攻科女性)」、「勉強したい気持ちになった時に、学べる場のある喜び。今まで人にやれと言われてやっていた勉強だが、今は自分が学びたいから学んでいる(27歳男1回生)」、「若い人に負けたくないので夜遅い勉強が苦にならない。学ぶ楽しさを満喫している。生き甲斐を見つけた(59歳女性)」、「40年間、看護婦として働いてきた。夜勤があるので、若いときから行きたかったが定年でやっと入学できた。毎日毎日学ぶ楽さを身にしみて感じている」

知事の発言内容

橋本知事は、これまで高知短大が果たしてきた夜間に幅広い年代が学べる場としての意義を高く評価し「この機能はより充実すべきであって、なくなるということはありえない」と述べ、その上で「今ある組織としての高知短大を廃止して新しく夜間から昼間まで働いている人から主婦から中高年から様々な学習意欲を持った方々が学べる場を提供してくために一度今ある名前は、白紙にして新しいものをつくるという趣旨で議論されている。自分自身はそうして行きたい」と発言しました。

また「知事の思いと県が出している法務総合学部案とは別の方向ではないのか」との参加者からの指摘に対し、知事は「法務総合学部に社会人教育を含んでいると受け止めるとまったく誤解になる。法務総合学部は、社会人教育とはまったく別の話だ」述べました。

これらの知事の発言は、新県立大は女子大を引継ぎ、短大廃止、新たに法務総合学部を加えて夜間開講はしないというこれまでの事務方の既定方針と食い違い、実質的な路線変更とも受け取れるもの。6月議会までにまとめ作業に入っている「県立大学改革」議論に大きな影響を与えるもので注目されます。