2006年3月19日

戦時中の朝鮮人強制連行なかった? 県企業局『県営電気事業史』

1983年に高知県企業局が発行した「高知県営電気事業史第二巻」に、戦前県電気局が行った旧吾川村の加枝発電所工事に従事させるため昭和14年、17年に多数の労働者を朝鮮から連行し、強制労働させたことを肯定的に評価する記述があることから、記述を見直すべきだという指摘が6日の2月県議会でありました(日本共産党と緑心会の牧義信議員の一般質問)。

朝鮮人強制連行には民間企業が関わったものが多くありますが、県が直接労働者を集めた記録があるのは全国でも佐賀県と高知県だけで、牧議員は「戦前の問題として済まされることではない。20数年前に刊行された企業局の正式な歴史の中に書かれている。県として直接関わった朝鮮人連行の事実や責任をどのように考えるのか。率直な反省とともに記述の見直しを行うべきだ」と指摘しました。

答弁に立った豊島知章・企業局長は「朝鮮の方々を募集し、本県で働いていたものであり、記述を見直す必要はない」と述べました。この答弁は募集は自発的で強制はなかったと言うもので、植民地支配の肯定にもつながる問題のある発言です。

当時、日本占領下の朝鮮で農村の大半を占める小作農の多くは、高い小作料と米の供出などで収奪され食料が極度に不足していました。朝鮮総督府は各地域に日本に送り込む労働者の割り当て動員数を各地域に下ろす中で、詐欺的な条件を提示され「募集」に応じることを余儀なくされたり、暴力的な徴用がありました。また「募集」の形態にかかわらず、日本に連れてこられた朝鮮人労働者は無権利で離職・移動の自由も全くない奴隷的労働を強制されていたことは衆知の事実であり、これらを肯定的に評価する県企業局の認識に批判が高まることは避けられません。