2006年2月12日

「解同」大会に高知市幹部ゾロゾロ 実態は市議選決起集会 公務員の政治的中立どこへ

市議選に決起した臨時大会の模様を報じる「解放新聞高知市協ニュース」」
1月22日に開かれた部落解放同盟高知市連絡協議会(以下、高知市協)の第48回臨時大会に、高知市の西森孝・市民生活部長を先頭に合計5人もの幹部職員が参加していたことが明らかになりました(さらに市100%出資の環境事業公社の代表も1人参加)。
 高知市は赤岡町とともに全県で2市町だけ「同和」を冠した課名を残している自治体ですが、同和特別対策法がうち切られて5年。「同和行政」の根拠もない中で、一運動団体を今なお特別扱いして総会に幹部職員が大量列席する旧態依然とした体質に市民の批判は避けられません。

特定業者問題と同根

朝倉総合市民会館で270人が参加して(高知市協の発表)開かれた臨時大会に出席した市幹部は、西森市民生活部長、同副部長、同和対策課長、人権啓発課長、市教委人権教育課長。西森部長は岡崎誠也市長、人権教育課長は吉川明男教育長のメッセージを代読しました。

一運動団体の大会にこれほど大量の市幹部が参加することは通常考えられません。「声の大きい」団体を特別扱いする高知市の体質は、特定市民への弱腰対応、特定塗装業者への公平さを欠き偏った随意契約発注などと同根の問題。市政の信頼回復にとり同和行政の偏向是正は避けて通れない課題です。

実態は選挙決起集会

さらに問題なのは、この臨時大会の性格が実質的に政治集会だったこと。特定団体の政治集会に職業公務員が公的な肩書きで参加することは行政の中立性を侵す重大問題です。大会は五島正規・民主党代議士の選挙違反にかかわって高知市協の同盟員が逮捕され、市協議長の藤沢朋洋・高知市議が辞職したことを受けて、新役員の選出と2007年高知市議選候補者の決定が議題でした。事実上の市議選の決起集会といえます。

臨時大会の模様を報じた1月26日付「解放新聞」号外「高知市協ニュース」も、写真入りで大きくこの女性候補の擁立決定を紹介。紙面には「選挙勝利へ燃える決意−各支部」、候補者本人の「必勝を期して全力でがんばります」との見出しが踊り、代議員の発言は「一票一票積み上げて頑張ろう」、「トップであげる(当選させる)気持ちで長浜もがんばる」など選挙一色でした。

特定の高知市議候補の当選をめざすことを目的にした集会に、政治家で特別公務員である首長が自らの政治信条で参加するというならともかく、幹部職員が公的な肩書きで参加したり、厳しく中立性が求められる教育長が激励のメッセージを寄せることが許されるのでしょうか。

なぜ未だにこのようなことが起こるのか。根本にはやはりトップの姿勢があります。岡崎市長が選挙で「解同」高知市協の強力な支援を受けていることに加え、「未だに部落差別は根強い」という実態と遊離した現状認識、これに高知市政に根強い「声の大きいものに弱い」体質がミックスされ、運動団体に言われるままに行政の命でもある政治的中立性を侵しても問題を感じない「麻痺状態」に陥っています。

「解同」県連が引き起こしたヤミ融資を教訓に、いち早く「団体対策」をやめた県人権課では「団体から案内がきたら、催しの内容を検討して、ふさわしければあいさつする者だけがいく。ゾロゾロいくことはない。部落解放同盟県連大会には平成16、17年ともメッセージだけ」(黒田孝道人権課長)と、高知市とは対照的な対応をしています。