県国民保護計画 原発テロ対応を追加 四国電力は可能性の低さ強調する矛盾
国民を戦時体制に動員する国民保護法を高知県に「具体化」する「高知県国民保護計画」を策定するための第3回高知県国民保護協議会幹事会が11月28日、高知市の高知共済会館で開かれ、これまでの原案に原子力発電所が攻撃された時の対応を加えた最終案を決定しました。
幹事会は実務担当者レベルの会議ですが、協議会の事務局を務める県危機管理課が、愛媛県伊方町の四国電力伊方原発がテロ攻撃を受けた場合に、愛媛県との連携、情報提供、安定ヨウ素剤の配布するという「対応策」を加筆提案しました。
提案を受けた審議では当初発言がまったくでなかったために沈黙にたまりかねた県が四国電力を名指して発言を促しました。指名を受けた四国電力は、伊方原発は現在も特別な警備体制が敷かれており、テロ攻撃を受ける可能性はほとんどないことを強調して、計画に位置付けられることが不本意であるという意思を遠回しながら表明しました。
四国電力のこの発言の背景には、原発の危険性が論議になることが住民の原発への反発に拍車をかけること、さらにはこれからプルサーマル(1面記事参照)を導入しようというデリケートな時期であることから、計画の障害になることを懸念してのものと思われます。ヨウ素剤の配布の実際について問われた県は、備蓄や費用負担などの具体的な内容は未定であり国に要請していく、県医師会から出た「計画では原発やNBC攻撃への医療対応の記載があるが、対応できる医療機関はなく現状は無力だ」という指摘にも国に支援を求めると述べるにとどまり、計画を具体化するにつれて矛盾点が広がっています。
この日の幹事会の審議は非常に低調で意見らしい意見はほとんど出ず、開会から35分間で原案の修正を決定し閉会しました。この日決められた「原案」は国のチェックを受けたのち、来春予定されている第3回協議会で正式計画として決定され、6月県議会に報告される予定。県議会が関与する余地は全くありません。来年度は市町村で同様の計画づくりが進められることになります。