2005年11月23日


議会活動への妨害 特定塗装業者が市民クラブ・共産委員を名誉毀損で訴える動き 議会事務局はテープ提出を拒否


高知市が特定塗装業者と癒着して不適正で偏った工事発注をしていた問題を調査している高知市議会「不適正発注等に関する調査特別委員会」の審議中の発言で名誉を毀損されたとして、特定塗装業者が委員に民事訴訟を起こすために証拠保全申立を行ったことがこのほど明らかになりました。特別委の審議の中で市役所との癒着構造があきらかになりつつあることへの危機感から「反撃」に出たものと思われます。訴訟への動きは調査対象にされている当該業者による議会の調査への妨害であり、反訴や強制力を持った特別委の設置など議会の徹底した対応が求められます。

業者側は訴訟を起こす理由として8月3日の特別委員会で@「元暴力団員」と呼ばれた、A(委員が)威圧的な言動で職員に質問を加えて「圧力があった」と発言するよう強要したことの2点をあげ、市民クラブの小原敏一、近藤強、中山研心、日本共産党の迫哲朗、下本文雄の各議員を訴えるとしています。高知地裁は業者の申し立てに基づき8月3日の特別委の録音テープを証拠として市議会事務局に提出するよう要請してきましたが、事務局は拒否しました。

議会発言で名誉毀損等が問われることは、発言の自由を保障する観点から「職務と関わりなく違法又は不当な目的」「虚偽であることを知りながら」である場合などに限定されています。業者が暴力団と関わりがあったとされていることが市役所側が圧力を感じ不適正な発注をくり返した大きな要因であったこと、職員に「圧力があった」と威圧的に質問したとされていることについても、執行部でさえ業者からの圧力を「不当要求」と認定したように、業者からの圧力の有無について議会が職員に質すことは当然のことであり、何ら名誉毀損にあたるようなものではありません。

実際には業者が訴訟を起こしても「勝ち目」は薄く、どこまで本気なのかは不明ですが、特別委のまとめにあたる今の時期に訴訟をチラつかせることで威嚇効果を狙ったものではないかと考えられます。仮に本訴訟に持ち込まれれば、司法の場で業者の不当な圧力の実態がより解明される場ができることになります。

業者が議員の議会での発言をとらえて訴訟を起こそうとしていることは、市民の負託に応えた議会の調査活動への妨害であることをとらえ、議会全体としての毅然とした対応が求められます。訴訟になれば特定塗装業者への反訴(被告が逆に原告を相手方として訴えること)、小規模工事の発注の調査という限定的な現在の特別調査委員会から、「不当要求」そのものを調査対象にする法的強制力をもった委員会への切り替えなどが必要になってきます。