2005年11月20日


高レベル放射性廃棄物地層処分場 県西南部に「適正」地7カ所 原環機構の動き依然続く


               県内7カ所の「適正地」

原子力発電により出る「原発のゴミ」である放射性廃棄物を地中深く埋めて地層処分する「高レベル放射性廃棄物(※)最終処分場」を幡多郡佐賀町をはじめとする高知県西南部に建設しようとする動きが依然として続いています。

2004年、佐賀町議会に処分場誘致を求める請願が町民から提出されましたが、同年9月に不採択に。これで佐賀町への誘致構想は消えたかに思われましたが、今年の夏にも原子力発電環境整備機構(NUMO 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づき2000年に設置)の職員が町内の事業所や家庭を軒並み訪問し、説明ビデオをその場で上映するなどの動きが続いており、火種はくすぶり続けています。処分場誘致に反対している住民は10月30日、佐賀町内で映画「東京原発」(東京への原発誘致をテーマにしたフィクション)を上映して反対の意思を示しました。

現在は原環機構が候補地を「公募」している段階です(平成10年代後半をめど)が、1月に岐阜県の市民団体の開示請求により明らかになった情報によると、全国で88カ所が地層処分に「適正」な地区とされ、そのうち7カ所が高知県の西南部に集中しています。県内で適正地とされたのは以下のとおり。

@大野見村鈴ケ森付近、A窪川町北西部、B佐賀町西部、C旧西土佐村の中半付近、D旧中村市と三原村との境界、E土佐清水市今ノ山付近、F宿毛市京法西方
 
高レベル放射性廃棄物 使用済み核燃料からウラン、プルトニウムを取り出す再処理をして残った高レベル放射性廃液を30年から50年かけて冷却し、ガラスで固めステンレス製の容器(キャニスター)に入れた「ガラス固化体」のこと。強い放射性を持ち、数万年以上放射線を出し続ける物質を含む。

地層処分場 高レベル放射性廃棄物を300メートル以上の地中に埋める施設。「ガラス固化体」を金属容器(炭素鋼製となるのが有力。呼称オーバーパック)に封入し、粘土の緩衝材で包んで埋める。処分施設は金属容器に封入するための地上施設と、地中深くに広がる横穴トンネルからなり、建設に10年間、廃棄物の埋設に50年間もかかるといわれる。数万年単位で放射能を出し続ける核分裂生成物を包む容器の腐食や地震による破損などによる地下水の汚染や放射能漏れ、処分場への放射性廃棄物輸送時の危険など、安全性が疑問視されている。


              地層処分のイメージ NUMOのパンフレットより