2005年11月20日


日高村 産廃「振興策」減額に強い反発 知事は焼却炉増設におわせかわす 「可能性ゼロではない」


       管理型処分場として穴を掘ることが予定されている場所(日高村本村)

橋本大二郎県知事は日高村への産業廃棄物最終処分場計画が、焼却炉等を除いた管理型処分場のみに縮小されたことを受けて11月8日、同村で開かれた住民説明会に出席。縮小案を県が不本意ながら受け入れざる得なかった状況の説明と、村への「迷惑料」である振興策(61億円を予定。13プラス1事業)を本体事業費減(70億円から48億円)に見合ったものにしていくと発言しましたが、会場は振興策削減への激しい反発で紛糾。厳しい批判に包まれました。

説明に立った橋本知事は「住民投票で大きい判断の基準になったひとつは環境問題。今回の見直しで環境に新たな負荷が加わるものではない。振興策は絶対額ではなく、事業に見合った形でお願いしますよというのが村民の思いと受け止めている」と強調し、「(住民投票時の約束と違うという)筋だけを主張してゼロになってもいいのだろうか。やれる範囲からまずやる。焼却炉をゼロにした計画ではない。可能性は残している」と将来の増設に含みを残しながら理解を求めました。
 
「裏切り行為だ」

しかし村民の多数からは厳しい批判が続出しました。「村長はこれまで縮小案を受け入れることは村民をだますことになると言っていたはずだ。受け入れは釈然としない」、「住民投票の前提条件が崩れた。納得できない」、「村長は県に対してあやふやだ。情けない。高知市に言われて縮小されるのは納得できない」、「高知市長が交替すればまた変わるのか。どこを信用すればいいのか」、「村民がゴーサインを出したのは振興策があったから。弱小の村にはのどから手が出るほど欲しい。安全面だけという知事の認識は間違い。振興策にすがりたい村民の思いを余りにも軽んじている」。

「この説明会で村民の理解を得たと考えるのか」との問いに対して知事は「何が何でも反対の人に何度説明会を開いても理解してもらえない」とも。言い分は平行線のままでした。

「ゼロではない」

焼却炉を除外した空きスペースを使い管理型処分場用の穴を広げたいと県が述べていることから、「将来、焼却炉を作る場所がなくなるのではないか」という指摘が住民からありました。県担当者は「設計の自由度があがるが、焼却炉が将来できないわけではない」と繰り返し懸命に否定したものの、予定地の急斜面とスペースの狭さを考えれば説得力に欠けるものです。

県は焼却炉の将来の増設について「可能性はゼロではない」と期待をもたせる発言をくり返しましたが、実際には焼却炉増設などありえないのが現実。にもかかわらず中野益隆・日高村長が「知事の話でも最終処分場だけではないということであり、13プラス1事業がこれで消えるとは思っていない」と述べるなど、できもしない話で村民に期待を持たせごまかすような状況になっています。

本体事業費48億円とのバランスを考えれば、振興策は35〜40億円程度に減額されることは確実で、すでに着工している搬入路を兼ねた県道整備(約21億円)、前候補地である柱谷地区の「後始末」(約2億円)を除くと残りは17〜18億円程度。防災面で地元要望の強い能津地区の沈下橋の抜水橋への掛け替え(17億円)を実施すれば枠はいっぱいになります。

しかし、これだけでは村の中心部への恩恵が皆無になってしまうことから反発の声が強いことから振興策の減額をまとめるには困難が予想されますが、県ができもしない話でその場を取り繕うようなやり方では、沈静化するどころか新たな矛盾を広げることつながりかねません。