2005年11月13日


元木益樹県議の資金管理団体 政治資金収支報告の連年不提出で活動資格を喪失 

   高知市九反田の元木県議の事務所


県議会議長や自民党県連幹事長などを歴任した高知県の自民党の実力者、大物県議として知られる元木益樹県議の資金管理団体「元木益樹大樹会」(届出者は元木氏本人)が、平成15、16年度の政治資金の収支報告を県選挙管理委員会に提出していないことがこのほど明らかになりました。連年の収支報告未提出は政治資金規正法17条2項に抵触。「元木益樹大樹会」は政治団体としての資格を喪失し、活動できない状態になっています。
 
資金管理団体とは、政治家のための政治資金の拠出を受けるべき政治団体として指定し選管に届けるもので(政治資金規正法19条)、政治家1人につき1団体に限られ、代表者は政治家本人でなければなりません。個々の議員が多くのカネを集めなければならない自民党議員の場合、それぞれの議員が個別に自らの資金管理団体を持っている場合がほとんどです(例 新高知市政治経済研究会=西森潮三議員、八王子会=依光隆夫議員など)。

同規正法12条はすべての政治団体に、前年の収支報告を翌年3月末までに県選管に報告することを義務付けており、2年連続して報告が未提出の場合には17条2項で、政治団体としての活動資格を失うと規定されています。

自民党県議の「金庫」

提出期限を前にした3月中旬、県選管は「元木益樹大樹会」に「2年続けて未提出になると17条2項に抵触して活動ができなくなる」という内容の通知を送りましたが、提出はありませんでした。

政治団体の中には看板を出すことが実質的な目的で収支ゼロの「個人後援会」も多くありますが、資金管理団体は自民党県議にとって「金庫」のようなもので、政治活動上極めて重要な意味を持ちます。

「元木益樹大樹会」には自民党県連等からの送金分として15年に5回に分けて505万円、16年には約70万円が入金されており、かなりの資金が流れ込んでいることは明らかです。また元木県議が収支報告を提出していないのは「元木益樹大樹会」だけではありません。住所が元木氏の事務所と同じ元木マスキ後援会(15年に50万円の入金あり)、自民党新堀支部(15年は約75万円、16年は70万円の入金記録あり)も15、16年分の報告を出していません。

罰則規定

同規正法25条は、収支報告をださなかった場合には5年以下の禁錮、百万円以下の罰金に処すると定めていますが、どういうわけか県選管には罰則規定があるという認識が乏しく、前出の報告未提出団体への通知にも罰則についての記述はありません。現職県議が代表を務める団体がことごとく収支報告が連年不提出などという「確信犯」を黙認することは、「民主政治の健全な発達」を求める同規正法の理念を著しく歪めるものであり、県選管は罰則適用も含めて毅然とした対応が求められます。

平成15年、16年といえば、元木県議は橋本大二郎県知事の「選挙資金疑惑」を調査する百条特別委員会の委員長を務めた時期で、元木県議自身が先頭に立ち町田照代・後援会長から橋本陣営へ貸借された1億円の貸借など知事の政治資金について激しく追及していました。その裏では自らが代表を務める団体の収支報告はサボタージュ。あきれた「ご都合主義」に批判が高まりそうです。