県国民保護計画案を決定 県民を守る具体策なし
国民を戦時体制に動員することを目的にした国民保護法を高知県に「具体化」するための「高知県国民保護計画」の原案が10月12日に高知市内で開かれた第2回県国民保護協議会で確認されました。
この原案は、県下に武力攻撃がかけられた際に、各自治体をはじめ自衛隊、国の諸機関、運輸・電気通信・放送局などの民間会社などの動きを定めるものですが、「具体的な被害の想定はできない」(県危機管理課)ために、県民を保護するための計画が非常に抽象的で実効性に乏しいものになっています。
協議会で開会あいさつにたった橋本大二郎会長は、計画策定へのスケジュールが順調であることを強調。11月には県民への説明会を開き、国のチェックを受けた後に来年2月に開く3回協議会で計画を正式決定する見通しを述べました。
この日の会議の時間は実質1時間足らず。大半は事務局の県の説明で委員の発言はわずかでしたが、NHK高知放送局の委員から情報操作の片棒を放送局が担がされる懸念が表明され、土佐電鉄の委員からは具体的な被害を想定しないとバスの台数や避難経路の計画を立てることができないという指摘がありました。県は「県が把握している情報はすべて放送局に伝えるが国が全部言うかどうかは分からない」、「避難ルートを複数設定して攻撃によって選択してもらいたい」などと回答しました。
前回の幹事会で「伊方原発への攻撃に備えるというならば、高知県民にも安定ヨウ素剤を配る計画にすべきだ」という意見が出されていましたが、四国電力の委員から「国の基準では高知県は対象外とされている」という指摘がされ、安定ヨウ素剤配布について計画原案には書き込まれないことになりました。原発へのテロなど脅威をあおりながら、具体的な国民保護には手をつけようとしない矛盾した計画の本質が明らかになりました。