2005年10月23日


和食川源流 芸西村民の水源に民間業者が産廃計画 


 産廃計画地の航空写真。破線は夜須町と芸西村の境で、分水嶺からかなり芸西側に食い込んでいる


高知市中万々の民間業者が、香美郡夜須町と安芸郡芸西村の境近くの山の稜線近くに安定型と管理型の産業廃棄物最終処分場建設を計画していることが大問題になっています。計画地は夜須町ですが芸西側の斜面になり下流の芸西村では住民が猛反発。中学生以上の村民の99・5%にあたる3798人の署名を集め9月県議会に建設反対を請願。全会一致で採択されています。

計画地は手結山から北東に伸びる稜線(羽尾方面への林道が走る)から東南(芸西側)にやや下った谷筋。地番は夜須町ですが和食川の源流域で、すぐ下流に芸西村瓜生野地区の集落や村の簡易水道の水源があります。また県が建設にとりかかっている和食ダムの貯水池のすぐ上流にあたります。過去にはサーキット場やゴルフ場計画が持ち上がり所有者が転々としてきたいわく付きの山です。

芸西村民に不安広がる

産廃を計画しているのは高知リサイクルセンターと高知環境クリーン(双方同一経営者)という業者。県は県産廃処理指導要綱に基づき業者と事前協議をしており、夜須町の土地環境保全条例に抵触することなどを理由に地元自治体の合意を得るよう勧告。橋本大二郎県知事も9月30日の県議会予算委員会で「村民の90%以上の署名は重く受け止めている。これまで関係市町村の合意なしには許可していない。今回も同じ扱いになる」と不許可の構えですが、業者側は勧告に従う意思は希薄で、許可を求めて訴訟を起こしてきた場合には現状の法律・条令の中では不許可決定が覆される可能性があります。

さらに村民を不安にさせているのは、この経営者の坂本龍馬一族の墓で知られる高知市丹中山の墓地を無茶苦茶なやり口で開発してきた経歴。「芸西を第二の豊島にしてはいけない」という声が村民からあがっています。

     産廃予定地の谷

県の果たす役割

過去に高岡郡中土佐町で県外業者が地元合意のないまま採石場の開発申請を行い、県は許可を留保したものの裁判に負けて許可せざる得なくなったことと同じことがまたくり返される可能性があります。

「ゴルフ場が問題になった時、夜須町は土地保全条例を作った。芸西村は安堵しただけで何もしてこなかった。今回の事例には使えないが、水源地の乱開発を防止する罰則付きの水源保護条例を準備している」(芸西村総務課)と水源を守る動きの具体化がようやく始まっています。

この事例を「他山の石」として、対応策が急がれていますが、水源地は市町村をまたぐ場合も多いことから県の役割が重要になります。同時に自治体がいくら規制をかけようとしても、国立市の高層マンション規制条例が訴訟で負けたように、限界があることも事実で、国が水源保全を放置して法律を整備していないことが問題の根本にあります。国に水源を守る法体系を整備させること、県下を網羅する条例策定、水源涵養保安林の拡大などの対策を早急に検討すべき時です。


           産廃予定地のすぐ下流にあたる芸西村瓜生野地区