「特定業者」にゴネられ工事業者差し替え 総務・産業振興部長も了承 高知市との癒着体質上層部から
改修工事が進む高知市中央卸売市場
高知市中央卸売市場(高知市弘化台)が「特定業者A」に塗装工事を取らせるため違法な分割発注をしていたことを発端に、市役所内の不公正な発注の実態解明をすすめている「不適正発注等に関する調査特別委」は8月17日、問題の発端となった市場課から2度目の事情聴取を行いました。現在市場に務める職員の他に、過去に勤務していた職員も委員会に出席し過去の癒着の実態解明にあたりましたが、この中で前市場課長補佐が15年3月、市場内の塩干仲卸仮設店舗工事でプレハブ棟のレンタル契約をすることが決まっていたY業者を、特定業者の難癖によって他業者に差し替えたことがあったと証言しました。
Y業者は契約に従ってプレハブ棟を置くための基礎工事に入ったところでA業者に難癖をつけられました。内容は@13時以降という取り決めを守らず10時から工事を始めた、A現場代理人がいない、などというものですが、実際にはY業者は工事時間について周辺の関係者に事前に承諾とっており問題はなく、代理人の不在についても近所の事務所(五台山)に必要な書類を一時的に取りに帰っていただけであり、なんら問題視されるようなことではありませんでした。A業者は以前、Y業者とトラブルがあったことから、Y業者憎しの難癖としかいいようがなく、まともにとりあって破棄して業者を差し替えるような理由には到底なり得ないものでした。
ところが市場サイドは、A業者の抗議を受けるやいなや、過敏に反応して直ちに産業振興部長と総務部長に業者の差し替えを上申。両部長はすぐさま業者の差し替えを認めています。判断の理由について西川博行・産業振興部長(当時)は「当時の記憶が定かでない」と述べながらも、「問題を起こした業者を使うことは(A業者の)納得を得られない」、「(国庫補助を受けている市場本体の改修工事の工期に影響を与えないために)やむをえない判断だった」、「圧力とは感じていない」と繰り返しました。
基礎工事に入っていた段階で、このような「理由」で発注を解除することは、「原則的にない」(契約課長)という異常な事態。「特定業者」の工事停止要求に従わされて、「許可」を得なければ工事を再開できない屈服体質が市役所上部まで浸透していたことが浮き彫りになりました。
「声の大きい者」の言いなりになり、問題のない業者を仕事から外すようなルールを無視することは、何よりも公正さが問われる市行政が絶対にしてはならないことであり、執行部の責任は重大といわなければなりません。
また業者差し替えの実態について証言した課長補佐は、市場課へ転属が決まった時には周囲から「黄色い名刺には気をつけろ」(A業者の名刺)と言われたことを紹介。市場長の部屋から携帯電話で市役所上層部に直接大声でクレームの電話をかけていたところを見たことがあるとも紹介し、A業者は市場で存在感のある人物であり、市場課に大きな影響力を持っていたの証言しました。
また別の前市場課長は、工事を請けた業者から「市公共建築課の補佐から市場のボスにあいさつをしておくようにと言われたが、どこにいけばいいのかと言われたことがある」と、公共建築課とA業者との癒着体質を指摘しましたが、公共建築課側は否定しました。