2005年8月27日             


民主・五島氏 連合の反対でアスベスト規制法制化とりやめ(政権与党時) 人命より票を選択?


    五島陣営のビラ

民主党・五島正規陣営は、9月11日に投票される衆議院選挙で、全国で深刻な問題になっているアスベストによる健康被害への対策を前面に押し出し、五島氏が先頭にたって旧社会党時代に「アスベスト規制法」(92年)を国会に提出したこと(自民党などの反対で廃案)を選挙の「目玉」にしようとしています。ところが93年から94年にかけて同法案の再提出を目指していた五島氏は(93年から社会党は政権入り)、社会党の支持母体である連合からアスベスト規制に反対され、法制化を取りやめていました。人命にかかわる大問題であることを充分認識していた政権与党の一員の五島氏が、支持団体に「配慮」して法制化を見送ったことは、今日のアスベスト被害の深刻化を招いた要因のひとつともいえます。

8月26日、高知市のかるぽーとで開かれた同陣営の決起集会では、 アスベスト問題を特集し五島氏のコメントが紹介されている関西の放送局作成のテレビニュースの録画を会場で上映し、五島氏が「アスベスト規制法」を国会に提出したことを最大限アピール。五島陣営のビラ「プレス民主」には、1面トップに「アスベスト被害の救済 アスベストが大きな社会問題になることは早くから分かっていました。今から13年前、五島正規が議員立法でアスベスト規制法案を提出しました。しかし、通産省、業界、自民党の反対で廃案となりました」と書いています。

しかし、実際には社会党のアスベスト規制法をめぐる動きはこれで終わりではありませんでした。93年に政権入りした社会党の一員として厚生行政に大きな影響力を持つ五島氏は、引き続き法制化に意欲を持ち法案の準備を進めていました。しかし94年に社会党の最大の支持母体である連合が法制化に反対したために、法制化は見送られることに。五島氏は朝日新聞に「社会党は法制化から降りろという意味に受け止めた。党はやむなくのんだ」とコメント。連合の反対を受けて法制化を断念したことを赤裸々に述べています。しかし、五島陣営のビラや決起集会では、連合の反対で法制化を取りやめたくだりの説明はまったくありません。

医師である五島氏がアスベストの危険性を知らないはずもなく、支持団体の票ほしさに人命にかかわる重大な問題を見過ごすような行動に、「人命より支持団体の票が大事なのか?」という批判が高まることは避けられません。