日高産廃計画「焼却炉除外して管理型だけに」 岡崎・高知市長が見直し要求 浜田・南国市長も賛同
8月25日、「エコサイクル高知」31回臨時理事会で発言する岡崎高知市長
日高村に計画されている産業廃棄物処理施設「エコサイクルセンター」を建設運営する財団法人・エコサイクル高知(橋本大二郎・理事長、県や高知市、各市町村、民間団体で構成)の臨時理事会が8月25日に県庁内で開かれ、同財団の副理事長を務める岡崎誠也・高知市長は県が示している現計画に再度難色を示し、焼却炉・破砕選別施設を除外した管理型処分場だけに縮小する抜本的な計画の見直しを求めました。
岡崎高知市長は、この日、財団事務局である県エコプロジェクト推進課が示した廃棄物が県計画どおり確保できるという内容の「利用予定調査」報告について、搬入を予定している業者が少数の業者に偏っていることや、最近建設された公的産廃施設が軒並み運営赤字に陥っていることなどをあげ、「収支が懸念される」と表明。「将来の赤字的な要素を可能な限り取り除くべき」だとして、ランニングコストがかさむ焼却炉・破砕選別施設を除外して、最低限のインフラとしての管理型処分場のみの計画にすることを正式に要請しました。同時に管理型処分場の工事を1期、2期に分割して、容量11万立方メートルのすべての工事にとりかかるのではなく時間的に差をつけた建設として、見込みが外れた時のリスクを回避する方向性を示しました。南国市の浜田純市長も「そのとおりだ。民間は価格で想像を絶する柔軟な対応をしてくる。大きい図体のまま飛び込むと、経営が大変だ」と岡崎氏の発言に賛成しました。
事務局は10月中をメドに開く次回理事会までに、内部で検討して方向性を示すと述べました。
解説 高知市と高知市議会で火がついたエコサイクル高知の計画への懸念が、ここにきて南国市、須崎市(前日の評議会で発言)など、各市町村にも広がる気配が見えてきました。これまで理事会への欠席が多かった浜田・南国市長も今回は出席して発言。高知市以外の市町村も最大10億円の分担金を支払わなければならない資金計画になっていることから、当然といえます(県と市町村の資金協議はまったくすすんでいない)。資金協議を具体化していくと、他の市町村、数億円を求められる民間団体などからも異論が出てくることが予想されます。
県は高知市が示した「見直し案」を検討するとしていますが、県はこれまで焼却炉(産廃での実績の少ないバーチカル炉に実質的に決定、納入業者は特定の業者だけに絞られる)に強くこだわって「焼却炉がない施設整備はありえない」と言ってきたきた経過があり、簡単に見直しはできないと思われます。また焼却炉や破砕選別施設を除外した場合の「採算」をどうとるか(医療廃棄物の滅菌施設を併設しその利益を充当するなどの案がある)、70億円の現計画の事業費が半減すれば、すでに県が日高村に「手形」を切っている60億円にものぼる日高村への「振興策」とのバランスを大きく欠く(本体事業より振興策のほうが大きい)という大きい課題もあることから、見直し作業は難航することが予想されます。日高村への産廃計画には県議会文化厚生委員会で厳しい意見が相次いでおり、県庁内にも批判が依然強くあることから、今後の議論の中で「そこまで見直すくらいなら、いっそやめたらどうか」という流れが出てくる可能性もあります。