合併のメリットどこへ 高知市+0・9%、いの町−1・3% 17年度地方交付税等配分額が決定
平成17年度の普通(地方)交付税の市町村への配分額がこのほど決まりました。県内市町村への臨時財政対策債を含めた実質的な配分額は1284億円で、16年度最終決定額と比べてマイナス0・5%となり、ほぼ前年度並みが確保されました。「合併すれば交付税が有利に配分される」と声高に叫ばれてすすめられてきた「平成の大合併」後初の交付税配分であり、合併市町村へどのような配分がされるのか注目されましたが、4月1日までに合併した高知市・いの町・津野町への配分は何らメリットを感じさせるものではなく、合併自治体も、合併しなかった自治体同様の厳しい財政運営が迫られることがはっきりしました(四万十市は合併が4月10日のため、合併していないものとして配分されている)。
1月に土佐山村・鏡村と合併した高知市の場合、普通交付税配分額(旧土佐山村・旧鏡村の分を含む)は、合併にともなう有利な算定替えや補正などを加えて5%増の255・6億円となっており「合併によって有利に配分を受けることができた」(川田定男・高知市市町村合併対策理事)と手放しの喜びよう。県市町村振興課の出した資料でも「合併効果」を強調する記述が目立ちます。
しかし実質的な交付税配分額は、普通交付税だけの額では分からず、第2の交付税といえる「臨時財政対策特別債」との合計でみる必要があります。
高知市の17年度の臨財債は31・7億円で、16年度の41・3億円から大幅減(マイナス23・2%)。県下自治体の臨財債の平均減少率マイナス22・9%よりも、多く削減されており、普通交付税の伸び分は吸収されトータルでは0・9%の微増にとどまりました。結局、普通交付税が伸びた分を臨財債を削って帳尻を合わせた格好です。津野町は普通交付税が4・1%伸び、臨財債マイナス22・6%でトータル1・1%の微増。いの町は普通交付税が2・3%増、臨財債がマイナス23・1%でトータルではマイナス1・3%になりました。
一方、合併しなかった自治体でもトータルで増額になるところが多くでました。安芸市2・2%、須崎市1・0%、土佐清水市1・3%、田野町0・9%、北川村2・3%など11自治体。交付税算定は多岐にわたる複雑な要素があり、単純に増減を比較することはできませんが、少なくても合併した自治体と合併しなかった自治体に間に特別な差はないということははっきりしました。
今年の合併自治体の普通交付税配分額は、「有利な算定替」や「合併補正」で一時的に底上げされたものであり、今後時限的「優遇策」が終わるとともに急速に減額されていきます。このスピードにリストラ効果が追いつかなければ財政運営が破綻しかねません。
合併反対運動のなかで住民から「算定替えはアメではない。合併しても、しなくても財政が苦しいのは同じ」、「どうせ苦しいのなら自分たちの町でがんばろう」という議論が交わされましたが、今回の交付税等の配分は、この議論の正しさを早くも証明することになりました。