2005年7月29日


高知市・春野町合併 9月の法定協設置には慎重意見大勢 高知市議会合併特別委


    秋山地区の違法墓地が新たなハードルに。執行部は棚上げして法定協設置を狙う

高知市議会市町村合併対策特別委員会(岡ア洋一郎委員長)は7月29日に会議を開き、高知市と春野町との合併法定協議会設置に至るまでの問題点について審議。ゴミ問題や違法墓地など問題が山積しているにもかかわらず、岡崎誠也・高知市長が首長間で合意した18年9月議会での合併議決というスケジュールに沿って強引に次期9月市議会へ法定協設置議案を提案しようとしていることに対し、「急ぐ必要はない」「じっくり腰を据えた議論をすべきだ」など執行部の姿勢にきびしい意見が相次ぎました。

委員会では懸案事項になっている、春野町のゴミ処理の問題、公民館への補助金の問題に加え、この間新たに浮上した春野町秋山地区の違法な町有墓地(雨森広志・元県議が設立にかかわっている)についても意見が交わされ、川田定男・市町村合併担当理事は「(春野町が)違法墓地を年度内に解決すると言っており、法定協と並行して整理する。違法墓地が解決できなければ合併はできない」と述べました。委員からは「墓地問題は複雑で、年度内に解決できるとは到底考えられない」、「違法墓地問題を解決してから法定協を設置すべきだ」という意見が続出しました。覚書による同和団体へのゴミ収集業務委託について指摘された川田理事は「市長が町長と会談した時に指摘した。合併までに解決するために町長が同和団体と会うことになっている」と述べるにとどまりました。

  違法墓地の代表世話人は雨森元県議

ゴミ・し尿処理や「公民館」への手厚い補助金、改良住宅の家賃などの課題についても執行部は「一定の方向性が整理されれば法定協で審議を」と、根本的な解決を棚上げしたままで法定協に流し込む姿勢を示しましたが、委員の多くから「委員会としては理解できない」「法定協設置は婚約。婚約前には問題を解決しておくべきだ」など慎重な意見が出されました。

9月議会での法定協設置に慎重な意見を述べたのは、浜川総一郎委員(新風クラブ)、戸田二郎委員(自民)、浜辺影一委員(市民クラブ)、宮島和夫委員(日本共産党)、河野隆博委員(無所属)。これに対し、武内則男委員(市民クラブ)は「合併をしたいという春野町民の選択を重く受け止めるべき」と執行部を後押し、公明党の吉田哲男委員、尾崎武志委員は「違法墓地があるから合併できないというのはおかしい」などと発言し、早期の法定協設置を求めました。

現時点では法定協設置を急ぐなという声が委員会で支配的であり、9月議会での法定協設置条例の可否は微妙な状況。次回の委員会に向けて、念書・覚書などの資料提出、ゴミ処理の問題・違法墓地について市環境部から意見聴取することなどが確認されました。


解説 今回の高知市と春野町の合併は、17年4月から施行された合併新法のもとで行われることになることから、旧法にあった合併特例債などの財政的なプラス面は皆無。唯一の財政面での「メリット」といえるのが交付税の「算定替」ですが、「算定替」は合併による交付税減額を一定緩和するものであり、合併を急いでも歳入が増えるわけではありません。とりわけ高知市のように人口規模が一定ある自治体の場合には「算定替」による効果は当初からほとんど期待できません。将来に禍根を残さないために、じっくりと腰を据えた審議が必要です。 不可解なのが法定協設置を急ぐ公明党の動き。保守系委員からも「えらく公明は焦っているがどうしたことか」という声が聞かれました。