魚腸骨処理施設の排水にアンモニア混入 公社に排水停止判断の遅れ 施設設計ミスの可能性も
高座川(高知市神田)
財団法人・県魚さい加工公社(県、高知市など18市町村、漁協や中央市場鮮魚組合などが出えん、理事長は福留剛毅高知市環境部長)が今年4月から運転を開始した魚アラをリサイクルする魚腸骨資源化施設(高知市神田治国谷)が、7月中旬に同市神田の高座川に、アンモニアが混入した排水を流した問題について、高知市環境部が7月25日に開かれた高知市議会厚生委員会に経過を報告しました(7月19日から川で魚が死んでいるとの通報があり排水停止)。
アンモニアが排水に混入したのは処理水の水温上昇によるバクテリアの不活性化と考えられますが、原因として設計施工した三菱レイヨンエンジニアリング・轟組JVの設計不備が強く指摘されています。
同時に運営責任を負っている公社・高知市側の判断にもまずさが目立ちました。7月5日から、水温が上昇し異変を予兆させるデータがでており、11日には散水等に処理済み水を再利用している隣接する「おおなろ園」から「アンモニア臭がする」との報告、15日には処理水の水質検査の結果基準値を超えるアンモニアが検出されていたことを三菱レイヨンが知っていたにもかかわらず、公社・市への報告が18日までなく、さらに三菱レイヨンと対応を協議するなかでも漫然と排水を続け、19日に「魚が死んでいる」と市民に指摘されて、ようやく排水をストップさせました(現在は三菱レイヨンの負担で排水を車で下水処理場まで運搬している)。
福留環境部長は「遅くても15日には排水停止しなければならなかった。公社の対応の鈍さによる情報収集の遅れがあった。今後は絶対にくり返さないようにする。この施設は市民の理解がなければなりたたない施設だ」と反省を述べ、徹底的な原因究明、公社職員の危機管理意識の徹底、住民説明会や開催、JVの責任と費用負担で万全の施設になるよう対策をとらせるなどの今後の対応を示しました。
委員からは、「初めての夏であり慎重な運転をしなければならないことは分かっていたはず。もっと早く排水を止める判断がなぜできなかったのか。やりきれない思いが残る」(迫哲朗委員・共産)、公明党からも厳しい指摘が相次ぎ、「(三菱レイヨンに)瑕疵責任を強く求めるべきだ(自民)」という意見が出されました。
今後の対策として迫委員は、排水問題の根本的解決策として排水を下水管に直接流すよう整備を急ぐことを提起。また当面整備が終わるまでの間は、簡易的に排水をホース等で下水管まで流し、川には排水を流さない方策を求めました。