2005年7月20日


特定塗装業者に異常な偏り 関係工事・修繕額の3割を1社で受注(14〜16年度)

A社への偏りが著しくみられる課と全体の合計(14〜16年度) 千円以下切り捨て
工事を発注した課 道路維持課 建設下水道総務課 みどり課 住宅課 教育委員会総務課 すべての塗装工事の計
発注総額 2432万円 980万円 1285万円 5825万円 1651万円 17470万円
A業者の受注額 680万円 356万円 573万円 1680万円 945万円 5141万円
割合 27% 36% 44% 28% 57% 29・4%

高知市が「特定業者」に入札を回避した「随意契約」で恣意的に工事・修繕を発注していた問題で、平成14〜16年度に同市が発注した塗装関係工事の発注総額約1億7470万円(182件)のうち、問題の「A特定業者」が約5141万円(65件)を受注していたことが明らかになりました。7月20日に開かれた高知市議会「不適正発注等に関する調査特別委員会」に市総務部が報告したもの。A業者の受注率は金額で29・4%、件数で約35%にも達し、受注資格を有する業者が80社以上あるにもかかわらず市役所がA業者に長期にわたり全庁的に偏った発注をすることが常態化していた実態が明らかになりました。

この日の委員会では、教育委員会と公園等を管理するみどり課から事情聴取を行い、A業者との癒着の実体、圧力の有無などをただしました。不適切な分割発注で入札を回避していたこと、偏った発注になっていることについて吉川明男・教育長が陳謝したものの、市教委総務課は、「圧力は一度も感じたことはない」、「(A業者は)安くて、早くて、子どもの安全に気を配る業者なので発注した」など圧力を否定。偏りの理由は「安易な発注」、「悪しき慣れ」であるとくり返しました。

委員からは、「何故これほどの癒着がおきたのか」という最重要の問題に、現状の委員会のあり方では迫れないことが指摘され、前管理職や担当者など事情に通じている職員を参考人として招致し事情聴取することが確認されました。


解説 予想されたこととはいえ、市役所側は、特定業者との実態を明らかにして、職場を真剣に改革しようという姿勢をまったく感じさせない対応に終始しました。ごまかしようのない偏りの実態は、しぶしぶ認めながらも、原因についてはお茶を濁す構えです。圧力に弱い職場から、「圧力があった」という声が絶対に出てこないのは、県庁に食い込んでいた「闘犬センター」の故弘瀬勝氏の場合に実証済み。橋本大二郎県知事が強引にアクションを起こすまで、職員から自浄作用につながる動きは何もありませんでした。特別委が確固とした姿勢で調査に臨むことは当然として、市長が「特定業者」問題解決の先頭に立というという姿が全く見えてこない現状で真実を語る職員が出てくることは考えにくく、岡崎誠也市長の不退転の構えが問われています。