2005年7月14日


高知市議会「不適正発注等調査特別委員会」開催 「特定業者」との癒着の実態解明なるか


      審議が始まった高知市議会「不適正発注等調査特別委」


高知市が圧力に屈して、「特定業者」に入札を回避した随意契約で優先的に工事・修繕を発注していた問題の解明にあたるため市議会につくられた「不適正発注等に関する調査特別委員会」(中野城久委員長・公明)が7月13日に開かれ、中央卸売市場塗装工事の「分割発注」が指摘された(日本共産党岡田泰司議員が6月議会で質問)A業者への発注内容(平成14〜16年度)が報告されました。報告からは、A業者が市役所の各分野に食い込んでいる実態の一端が明らかになりました。

委員からは、執行部に「この機に『特定業者』との癒着を断ち切ろう」という姿勢が希薄なことから、「岡田議員の質問がA業者に漏洩した事実は癒着以外の何ものでもない。市役所の自浄能力が問われる。癒着があることを前提に実態を解明する立場で調査すべきだ」(下本文雄委員・共産)、「岡崎市長は質問漏洩を徹底的に調べると答弁したが、未だに何もない。通り一遍の調査ではすまされない」(中山研心委員・市民クラブ)という意見が出されました。

14〜16年度のA業者の受注実績は69件。うち入札をのぞいた随意契約による受注が68件。金額は約3600万円にのぼります。消防局、企業立地課、水道局浄水課、東部環境センター、スポーツ振興課、総務課、河川水路課、下水道保全課、道路維持課、みどり課、耕地課、市場課、教育委員会総務課と広範囲にわたっています。

市役所関係者によるとA業者の「営業力」には定評がありました。現場の状況をチェックし、市側の不備をめざとく見つけ問題視する「提案型」営業をこまめに展開していたといいます。15年3月には住宅課が市営住宅(丸池町)の塗装工事を別業者に「分割発注」していたことをつかんだA業者が、都市整備部長や高橋正道助役に直談判して謝罪させ、情報公開を請求。この直後、A業者は総務課が発注した議会棟の工事を受注しています。

前松尾市政のもとで大問題になった「声の大きい者に弱い体質」が市役所全体に蔓延しているのが今の実態。質問漏洩事件にまで至った癒着体質のウミを出し切れるかどうかが、同委員会に課せられた最大の使命といえます。


「やらせ」見積り 執行部が提出した各課のA業者への発注の経過を書いた報告書によると、A業者に随意契約をする際に2社以上から見積りをとっていないケースが目立ちました。その多くを「緊急性」を理由にしていますが、階段の錆の修繕にどれだけの緊急性があるのか疑問が残るところ。また見積りをとっていても社名だけで金額の記載がなかったり、見積書を廃棄したため相見積りの社名も金額も不明の課もあるなど、実態解明にはほど遠いものでした。

また一見「正常」に見積りが行われているように見えるケースでも問題があります。複数の市役所関係者によると、現場が発注する時には受注業者を先に決めておいて、体裁を整えるため「他社の見積書も構えておくように」と受注業者に他社の見積書を用意させることが常態化していたといいます。受注業者は自社よりも高い金額を書いた「やらせ」の見積書を、懇意にしている業者仲間に書いてもらい用意します。これでは競争は働かず意味がありません。業者の思うように価格を決められてしまうことになります。

今回、複数の見積りが出ているとされている発注でも、相見積りの業者名に著しい偏りが見られることから、A業者が集めた「やらせ」見積りである可能性が高いといえます。今後の実態解明が待たれます。