2005年7月10日


厚生年金高知リハビリ病院が存続の危機 整理機構法が自公の賛成で可決


         厚生年金高知リハビリテーション病院(高知市神田)

市民に「リハビリ病院」として知られ高知市西部、いの町、春野町周辺の地域医療の受け皿として大きな役割を果たしている高知市神田の「厚生年金高知リハビリテーション病院(桑原和則院長)」が存続の危機に立たされています。健全経営で医療水準も高く、安心してかかれる病院として広範な住民に支持されている公的病院がなぜ無くされなければならないのでしょうか。

2005年6月15日、「独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法」が自民・公明の賛成で成立しました。全国の厚生年金病院をはじめとする328の福祉医療施設を5年間で競売にかけ売却することが目的です。厚生年金病院で対象になっているのは、登別(北海道)、東北(宮城)、東京(東京)、湯河原(神奈川)、大阪・星ケ丘(大阪)、玉造(島根)、高知リハビリ(高知)、九州(福岡)、湯布院(大分)の10施設。

厚生労働省は社会保険庁の不祥事、国民が払った年金掛金をグリンピアなどの無駄な施設に湯水のように投入した無責任な年金行政に国民的な批判が高まったことを逆手にとり、「自らも血を流す」と言い方で、国民が誰も望んでいないにもかかわらず、以前から狙っていた厚生年金病院の売却・廃止を強行しようとしているのです。

「血を流す」べきは、対象は歴代厚生省幹部や自民党内閣であり、国民に支持され地域の第一線の医療活動に日夜奮闘している現場を真っ先に切り捨てるのは本末転倒です。この動きの背景には、医師会からの「民業圧迫」という圧力、ベッド数を確保するために既存の公的病院をスクラップするという戦略があります。

■存続は県民的要求

厚生年金高知リハビリテーション病院は1975年の開院。診療科は内科・外科・整形外科・泌尿器科・消化器科・リハビリテーション科・麻酔科でベッド数165床。市内西南部の中堅病院として30年間市民に利用されてきました。

同院のリハビリ治療の水準の高さは定評があり、交通事故や脳疾患の後遺症治療で高い信頼が寄せられています。人工透析は県下の公的病院で最も多い29床を有し、検診は年間8000人が受診。震災時には公的病院として防災拠点としての役割も期待されています。

厚労省の売却方針に対し、2月県議会では全会一致で「同院を公的病院として存続させることを求める意見書」が採択され、高知市議会でも同様の意見書決議がされるなど、病院の存続は県民的な要求です。高知市民病院、県立中央病院に続き、またしても高知市街地から公的病院が消えることは、市民の医療の重大な後退につながります。7月には病院の存続を求める住民の組織が立ち上がり、運動を展開していくことになっています。