2005年7月1日


首相靖国参拝に苦言 「つくる会」教科書を実質批判 橋本知事  


6月29日、県議会本会議の質問戦で、橋本大二郎・県知事は首相の靖国神社参拝や教科書検定への認識について、「首相の靖国参拝はバランスを欠く判断。やめるに越したことはない」と答弁。大崎博澄・県教育長も「アジア諸国の人々に大きな苦しみと損害を与えたことを忘れてはならない」と述べ、扶桑社の歴史・公民教科書に貫かれている“靖国史観”を実質的に否定しました。日本共産党と緑心会の田頭文吾郎議員の質問に答えたものです。

また6月21日の高知市議会では、岡崎誠也市長が、太平洋戦争を自存自衛のための戦争だったとする靖国神社の歴史認識に「違和感を覚える」。首相の靖国参拝にも「国益に反する」と批判する答弁をしています。


橋本大二郎県知事

靖国参拝に対して様々な思いや意見があることは充分承知している、国のため、家族のためを思って、亡くなった戦没者に敬意と追悼の気持ちを持つことは当然の感情だと思う。ただ個人の思いは別にして、我が国の国益という視点に立った時には、総理大臣が今あえて参拝をすることは、中国や韓国など近隣の国々との関係を考えるうえで、バランスを欠く判断だと私は思う。総理大臣の靖国参拝はやめるにこしたことはないと考えている。

そもそも政府は内閣総理大臣の談話の形で我が国の植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して、多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明しており、こうした認識が教科書検定に反映されるべきことは当然だ。

教科書の検定基準に近隣諸国条項が設けられているのも本来はそうした趣旨からだと受け止めている。私の歴史認識は総理大臣の談話と基本的に変わるものではない。こうした真摯な反省の上にたって二度と過ちをくり返さないよう不戦と平和を固く誓うことから、戦後日本が出発したと考えている。

大崎博澄県教育長 

我が国は過去の一時期に、植民地支配や侵略によって、多くの国々、特にアジア諸国の人々に大きな苦しみと損害を与えたことを忘れてはならないと考えている。教科書検定のあり方について、検定基準に近隣諸国条項があり、こうした認識が尊重されるべきものと考える。

岡崎誠也高知市長

歴史認識 靖国神社はいくつかの主張をしてるが、太平洋戦争について、日本の自衛のために行われたものであり、東アジアを自由で平等な世界を達成するためのものだったという見解が示されている。戦前の我が国が、先の大戦を正当化した主張を踏襲するように聞こえるので私は違和感を覚える。戦後50周年にあたる1995年に村山首相の談話が公式に表明されているが、談話の中で日本の植民地支配等について、痛切な反省と心からのお詫びが、アジア諸国の人々に表明されている。この談話は現在も政府の歴史認識を示す基本見解とされており、私もこの見解を支持する。

首相靖国参拝 昨今の日中、日韓をはじめとする東アジアと日本のギクシャクした関係の原因のひとつに、靖国神社への参拝問題があげられていることを考えると、靖国参拝は日本の大きな国益を損なうことになるのではないかと憂慮している。多くの戦没者への敬意と感謝の気持ちから、小泉総理が参拝したいという気持ちも分かるが、極東アジア全体の友好関係を考えると、周辺諸国の感情も含め、影響が大きすぎると心配している。