2005年6月26日


どうなる新法下の市町村合併 橋本知事とりあえず「慎重」姿勢 県合併支援室は再合併の必要性強調

「平成の大合併」が3月末で旧合併特例法期限切れを迎えたことで、ひと区切りがつきました。2004年まで53だった県下の市町村は今年度中に35まで減少する見込みに。4月からは旧合併特例法に代わり新特例法下で合併がすすめられることになります。新特例法における市町村合併の動向について考えます。

全国の自治体数は約3200(99年3月)から1800余まで減少し、高知県では合併を終えた四万十市・いの町・津野町・高知市、今年度中に合併する香美市・香南市・仁淀川町・中土佐町・四万十町・黒潮町に、合併しない市町村が併存している状況です。1万人未満の自治体は19(合併済・予定を含む)。

アメ消えた新法

国は新特例法で、自治体数を当初の目標である1000以下にする方針ですが、新法では旧法の「アメ」が抜け落ちており(合併特例債廃止、合併に伴う補助金廃止、交付税激減緩和の期間が10年から5年に段階的に短縮)「財政的なうまみはほとんどない」(隅田明・県市町村合併支援室長)のが現状。

総務大臣が示した「自主的な市町村の合併を推進するための基本的な指針」では、都道府県が人口1万人未満の市町村に「合併構想」を示し合併協議会設置を勧告することを明記するなど、アメの代わりに強権的手法が強調されています。隅田室長は「交付税をまだ切り込む動きがあり合併は引き続き有力な選択肢。合併構想も立てる。勧告で県がどんどん旗を振ることにはならないと思う。1万人未満だけを対象にはしない。逆に1万人以上だから合併しなくてよいということでもない」依然として合併を推進していく姿勢を示しました。

知事の見解

旧特例法の期限切れ直前「アクセルを踏む」と合併を強く推進した橋本大二郎県知事は新法についてどのような見解を示しているのでしょうか。

知事は合併構想を県が一方的に下ろすこと、人口だけを合併の基準にすること、強権的な勧告には否定的な見解を明らかにしていました。「構想」を示すにあたっては、望ましい基礎自治体のあり方を有識者や自治体首長の意見を聞いてまとめる作業を先行させるとしてとりあえずアクセルを離している状態です。

さらに「合併しない市町村への対応」にも言及しており、「一部事務組合や広域連合など従来のものを超えた新しい提案」、「小さな町や村で残っていかざるをえないのであれば、議会や学校などすべてを整備するということではなく・・・」、「自治体の事務を共同で処理するセンターを県が中心になって作っていく」など注目できるものも含まれてます。

しかし6月24日に開会した6月県議会の提案説明で知事は「市町村の足腰を強めるという視点からみると合併は有力な選択肢」と述べ、「合併構想を早ければ年度内、遅くても来秋ににまとめる」と構想の期限を明示するなどピッチを上げてきており、再びアクセルを踏み込む可能性もあります。

カギ握る「支援プラン」

財政優遇のない「基本指針」に各都道府県知事の反応は冷やかでした。国はこのままでは合併がすすまないと見て、新たなアメを8月に「支援プラン」という形で出そうとしています。金子邦彦・日本共産党自治対局次長は「支援プランにどれだけアメを盛り込むかが国の『決意』をあらわす。旧法と大差ないアメをもりこむ可能性も否定できないが、厚遇しすぎると駆け込んだ自治体から反発がくるので極端なことはできないはず」。可能性としては旧法の合併特例債(7割を国が措置)に代え、特別な起債(5割程度を国が措置)を支援プランに盛り込むことなどが考えられます。

橋本知事が単独自治体への支援策に言及していることについて合併支援室サイドは「単独で残れるほど甘くない。知事が言う単独自治体への支援策というのは、合併するまでの数年間のことではないか」、旧法で合併した自治体についても「今回の合併は『昭和の大合併』のように50年大丈夫というものではない。当面の危機を乗り切り、再合併も必要」と合併した自治体も再合併が不可避という本音を隠しません。「合併すればやっていける」とさんざんあおっておきながら早々と「再合併は不可避」では、県の言うことを真に受けて駆け込んだ自治体はたまったものではありません。