高知市が議会質問事前通告を漏洩 岡田泰司市議の携帯電話に「特定業者」から中止要請 執行部との癒着深刻
分割偽装して発注された市場の外壁塗装工事
6月21日の高知市議会本会議で日本共産党の岡田泰司議員が高知市中央卸売市場(高知市弘化台)の改修工事に関連して、市が「特定業者」の圧力に屈して不当な要求をのまされ、不適正な発注をしていたことをただす質問をしましたが、質問の前日、執行部しか知らないはずの岡田議員の質問内容が「特定業者」に漏れ、業者から直接岡田議員に、質問をやめるよう働きかけがあったことが明らかになりました。事前通告した質問が市役所から特定業者に漏洩したことは、高知市と「特定業者」の深刻な癒着の実態を白日のもとにさらしました。
質問する岡田議員(6月21日)
「特定業者」による圧力と不適正な発注の内容は、古くから市場に食い込んでいる塗装業者Aが4月、市場改築工事に伴う活魚漕移転工事の請負業者選定にクレーム。市場側はクレームを受け入れて移転工事をストップし、5月に年度当初に計画がなかった市場建物の外壁塗装工事をA業者に突如発注したというものです。塗装工事の総額は2541000円で、入札が義務付けられていた(130万円以上)にもかかわらず、1249000円、484050円、429450円、378000円の4つの工事に「分割偽装」して随意契約でA業者に発注しました。
因縁をつけるA業者に許しを請うため、工事を無理矢理つくってあてがったとものと思われます。同市場では平成14年に、まったく同じ手法でA業者に工事を発注したことが問題になり、当時の市場長が文書厳重注意(訓告)処分を受けています。市場長が交替しても同じ事が「確信犯」的にくり返されたことは、「特定業者」との癒着が連綿と引き継がれていることを意味しており、市役所の構造的な問題であることが分かります。
岡田議員は「特定の業者の要求に屈したと思われても仕方がない」と指摘。岡崎誠也市長は不適正な分割発注について陳謝しましたが、24日の経済文教委員会で執行部は特定の業者に対する便宜供与や行政暴力の介在を否定しました。委員からは「1年前に市場で窓枠が落下した事故が突然地元紙に出たのもこの業者と関係がある」と、情報リークがA業者の市への揺さぶりだったという指摘や、「この問題は全職員が注目している。きちんとやらなければならない(新風クラブ)」、「常識では考えられない発注だ(自民)」などと執行部に厳しい意見が相次ぎ、引き続き公正な発注の実現にむけて審査を続けていくことを全会一致で確認しました。
さらに重大なのは、岡田議員がこの問題を取り上げる本会議質の前日、「特定業者」本人から岡田議員の携帯電話に電話がかかり、質問の中止を要求してきたことです。質問内容は事前通告してある執行部や担当課以外に知っているものはおらず、市役所内部にA業者に情報を漏らした人物がいることは明らかです。岡田議員が「質問内容をどうして知ったのか」とA業者にただすと、「それは言えないが、議会の情報はすぐ流れる」と話したといいます。
岡田議員は「腐った内通者を培養してきたのは執行部だ」と特定市民の圧力に屈してきた歴代市役所幹部の体質を批判。岡崎市長は陳謝したものの、「調査したが漏洩したものはいなかった」と積極的に解明する姿勢を見せませんでした。情報を漏洩して議員の自由な質問を妨害することは、地方公務員の守秘義務違反に該当する刑事罰が科せられかねない行為であり、あいまいにしない徹底的な調査が求められます。