2005年4月14日


日高村エコサイクルセンター計画立往生 県議会文厚委でも見直し論が大勢


日高村への「振興策」として17億円でかけかえる産廃予定地近くの橋


4月14日、県議会文化厚生常任委員会で行われた業務概要説明の中で、日高村本村地区に予定されている産業廃棄物処理施設「エコサイクルセンター」(県や高知市などでつくる財団法人・エコサイクル高知が建設運営)建設計画(※)の見直しを求める意見が多く出されました。高知市議会に続く県議会での見直し論の台頭で、県はきびしい状況に追い込まれました。

この日の委員会は各課の業務内容を説明するためのものでしたが、エコプロジェクト推進課の説明の中で、委員から県計画の見直しを求める質問が続出。県計画をよしとする意見は皆無でした。見直し論を明確に主張したのは、県議会最大会派の自民党の土森正典委員、第2会派で親知事の「21県政会」の植田壮一郎委員、第3会派「日本共産党と緑心会」の塚地佐智委員、谷本敏明委員と新政会の朝比奈利広委員長。第4会派の「県民クラブ」の坂本茂雄委員も見直しのトーンが強い質問をしました。自民党の東川正弘委員、「21県政会」の式地寛肇委員、森祥一副委員長からは発言がありませんでした。(発言要旨は後述)

この日の委員会では本体の建設事業費と別に、合計62億円の税金を投入する予定の日高村全域への「振興策」についても批判的な意見が多く出されました。「振興策」についての県議会での踏み込んだ議論はこれからですが、大きな問題があるという認識は各委員に広がりつつあります。この日の議論を受けて同委員会は近く集中審議や勉強会を行っていくことを確認しました。

4月27日には高知市議会厚生委員会に高知市が独自の調査結果を報告することになっています。岡崎高知市長の搬入量再調査の要請を受け、県側は実施設計(設計図や仕様書を作成する作業)を中断。県側の強行姿勢が軟化しつつある兆候もみられることから、市執行部がどのような報告をするのか、前後しての県の動きが注目されます。

※日高村本村の蛇紋岩の採石場を産廃に転用する計画。事業費は約70億円。運営は19年間で9億円の黒字が出ると県はしているが(減価償却はのぞいている)、岡崎誠也高知市長は、「実態と乖離しており懸念している」「赤字が出る施設は認められない」と表明して抵抗姿勢を示し搬入量の再調査を要求。同市議会では自民党をはじめ多くの会派が撤回や見直しを要求している。現在はオオタカの営巣地が発見されたことから秋まで計画はストップ。事業費とは別に総額62億円の事業を日高村への「迷惑料」として実施することになっている。


各委員の発言要旨

坂本茂雄委員(県民クラブ)  追跡再調査をやって搬入量がさらに減った場合どうなるのか。高知市も独自の調査をするということだが、理事会の調査と比べてどちらが信憑性があるかというような議論になるのか。調査の対象が違っていたり、サンプル数が違うと共通の基盤で議論ができずに、意見のすれ違いで結局協議が進行しないということもあるのではないか。

土森正典委員(自民党) 本当にこの施設は必要なのか。高知市以外の市町村との資金協議もまだだ。日高以外の全市町村に金を出させる計画自体がおかしいのではないか。オオタカがでていなければもう始まっている事業だ。資金も問題は解決されてなければならないはずだが、まだ難問が残っている。今の県外排出が年間4万トンで、この施設の受け入れは1万1000トン。全部処理できるなら公費を投入する意味も分かるが、作っても県外に出さなければならないなら作る意味はどこにあるのか。

植田荘一郎委員(21県政会) なんとか実現しなければという考えだが、少なくとも採算ベースになる計画にして始めるべきだ。今の計画は循環型社会の動向を考えていないのではないか。採算のことを考えると規模的な再検討が必要ではないか。

谷本敏明委員(日本共産党と緑心会) 当初から長い時間がたち状況が様変わりした。ここまでの議論になった段階では、日高村への「対策」の見直しの議論もしておく必要があるのではないか。

塚地佐智委員(日本共産党と緑心会) 費用対効果で相当問題がある計画というのは委員会共通の認識。高知県に今最低限何が必要なのか。産廃の不法投棄も余りなく、計画が遅れ込んでも排出業者から作れという声もない。産廃処理は廃棄物を出す事業者の責任というのが基本。基本を逸脱した計画は見直すべきだ。

朝比名利広委員長(新政会) 資金を確保してから事業を提案するべきだが、現在確保の見通しが立ってない。できるだけ早い時期に資金計画をもっとつめた議論をする。