2005年4月3日


コールセンター「オーシャンテレコム」 開業5カ月で離職者57人


    実態と乖離した条件を記載したオーシャンテレコムの求人広告 掲載料にも税金の補助が

高知市と県が誘致したコールセンター「オーシャンテレコム」(光通信系企業と大旺建設が出資)で、昨年10月の開業から今年2月末までの5カ月間の離職者が57人に上ることが判明しました。県企業立地課が明らかにしたもの。同課によると「オーシャンテレコム」の現在の従業員数は約80人。毎月11人以上が辞め続けている計算になります。

コールセンターの定義について県と高知市は「顧客からかかってくる問い合わせに対応する業務」などと説明していますが、「オーシャンテレコム」の実態は無差別に電話をかけて「マイライン」への加入を勧誘する過酷なテレホン・アポイントメント業。県・高知市が誘致したという「信用」、「情報通信の大手」と美化する地元紙、「飛び込み営業はありません」という実態とかけ離れた求人広告により入社したものの、すぐに「こんなはずではなかった」と敬遠されているのが現実です。

県企業立地課は「確かに(離職者は)多い。仕事の内容にストレスを感じる若い人が多いようだ」と困惑した様子。昨年12月県議会に補正計上した補助金1482万円も、年度末ギリギリまで書類審査が遅れこみ、減額して執行される見通しです。

光通信系企業の従業員の定着率の悪さ、大量雇用・大量離職は全国どこでも問題になっており「オーシャンテレコム」の誘致時にも容易に予測がつくものでしたが、対象企業の体質をまともに吟味しないまま飛びついた拙速な誘致の結果といえます。

大量の離職者は今後も続くことが予想され、県・高知市が多額の公金を投入して鳴り物入りで誘致した企業が開業直後からこの有様では先が思いやられます。

4月末は開業して6カ月目になることから、県と高知市は人件費の補助のため6カ月間継続して働き続けた従業員の頭数(※)を確定しなければならず、同社の離職者の実態が一層明らかになると思われます。
 
高知市議会でも異論

3月17日の高知市議会経済文教委員会では執行部が「オーシャンテレコム」に5年間で県市あわせて2億5000万円を助成することを説明しましたが、委員からは意見が相次ぎました。

同社が安い賃金で従業員を使い捨てにするのではないかとういう懸念、税金を投入している募集広告に労働条件が偽って記載されている問題の指摘に加え、市民クラブの委員は「求人票には嘘が多い。厳格にチェックしなければ高知県民にとってマイナスになる。行政は甘い。100人雇ってくれるからホイホイではいかん。通話料まで補助しなければならないのか」、「進出しやすいということは撤退もしやすい。何の担保もない(公明)」、「誘致企業を決める時にきちんとチェックできていなかったのではないか。企業が先にあって制度を変えてから後から議会に報告するのは順番がおかしい(共産)」など。

執行部は「企業と5年間撤退しないという約束を交わしているわけではない。助成し続けることで担保にはならないが操業してもらえると想定している」、「チェックに少し抜かりがあったのは否めない事実。これからは厳格なチェックをかけていく」などと答弁しました。

人件費への補助 6カ月通して働いた新規雇用者に対し、スーパーバイザー(管理的要員)100万円、常用雇用50万円、パート30万円(1人あたりの年額)を助成する。2年目以降は純増分のみが対象。