高知市が国保医療費窓口負担の減免措置新設へ 「生活と健康を守る会」に回答
高知市健康福祉部に申し入れる「高知市健康と生活を守る会」
高知市は2005年度から経済的に困難を抱える国民健康保険加入者が、病院にかかった時に窓口で支払う医療費自己負担を減免する制度をスタートさせることになりました。2月9日の「高知市生活と健康を守る会」と高知市健康福祉部の懇談の中で明らかにされたものです。
「守る会」から医療費減免制度の実現を求められた沢本義博・高知市健康福祉部長は「今、市民から医療費減免の申請が出され受理している。医療費減免・徴収猶予は国保法44条に定められたものであり対応しなければならない。早急に実施するために基準を作成している」と2005年度中には新減免制度をスタートさせると述べました。
この減免制度は災害や失業などで収入が著しく減少した場合(生活保護基準の120%以下の収入を適用する場合が多い)、病院の窓口で支払う自己負担金(通常3割)を収入減の割合に応じて全額または一定割合を免除するものです。
「守る会」からは、困難を抱える市民が実際に利用できるような制度にすることの要望が出され、高知市側は「生活保護とは違うので、(資産調査の)同意書をとるようなことは考えていない。印刷日程の関係で4月に国保加入者に送られるしおりには載らないが、『あかるいまち』などで広報していく」と答えました。
意見交換の中で議論になったのが、「保険料完納」を減免の前提にすべきでないとう「守る会」の提起でした。
市側は国保料収納率を引き上げないと国からペナルティが科され国保財政を維持できないという観点から、結果的に滞納を追認してしまうと難色を示しましたが、「実際に困っている市民を助けることができる制度でなければ意味がない」という指摘には一定の理解も。沢本部長は「那覇市の要綱では減免の対象にならない者として『特別の事情がないにもかかわらず保険税を滞納しているもの』としている。これらを参考にして高知市の基準を決めていく」と柔軟に対応していく方向性を示唆しました。
解説 国保法44条には医療費負担金の減免について記述はあったものの「できる規定」とされていたため、これまで全国的にほとんど実施している自治体はありませんでしたが、「生活と健康を守る会」の運動によって全国的に広がりはじめています。高知県内では須崎市が制度を持っていますが「保険料の完納」を前提にしており、周知不足もあって市民に活用されていません。高知市がいち早く市民が利用しやすい制度に踏み出すことができれば、市民の命と健康を守るうえで大きな意義を持つものになります。