2004年12月10日


福井照・自民衆議院議員 「個人住宅本体の支援は大いに疑義。 自助努力を阻害する」 被災者の願い踏みにじる  


 個人住宅の再建を支援する被災者生活再建支援法改正案(民主・共産・社民が提出)が12月3日、自民・公明によって廃案にされましたが、高知1区選出の福井照議員は「自助努力を阻害するので住宅再建への支援をするな」という論陣を張る急先鋒をつとめました。毎年台風による被害が続出し、南海大震災への備えに全力をあげている県民の要求とは、まったくかけ離れた同議員の言動に批判が高まりそうです。公明党の石田祝稔衆議院議員(比例)も同委員会に所属し、廃案に手を貸しました。12月2日、衆院災害対策特別委員会での福井議員の質問の大要を紹介します。答弁者は民主党の泉房穂議員。


 福井照委員 住宅本体に国家・公の支援がいくべきであるという主張には大きな疑義がある。私有財産と国家との関係、国家と個人おとの関係をどこまで深く枠組・理念を構築して法案を出したのか。よく分からない。
 改正法は4月から施行したばかりで、住宅本体は支援の対象外ということで4年状態を見ようと決めたばかり。3月までの議論を越えた事実関係、国家と個人・私有財産の関係を再構築する新たな理念ができたのか。

  施行後、台風、地震が連続して重大な被害が出ていることが最大の立法事実だ。改正後も各都道府県が独自に住宅本体への補修費を支援する施策が行われている。120人を超える超党派議連の方針でもある。全国知事会、兵庫や新潟などの知事も要望している。11月8日付毎日新聞の世論調査でも8割の国民が住宅本体の補修費への支援を支持している。

 福井委員 予想どおりというか、たくさん災害が起こって、気の毒なみなさんがたくさんいる、もうすぐ雪が降るぞという絶望感におののいてる方々もたくさんいるということで法律を出したということだと思う。

 そこが提出者の限界を問わず語りに言っている。立法者として考えなければならない国家と個人・私有財産との関係について「今のような世論があるから」だけでは片手落ちだ。
 住宅を持っていた人と持っていない人には不公平が生じる。いろんな境界条件が私有財産と国家との間に存在する。地方公共団体と個人には別の位置関係が存在する。知事や市町村長が横出しという形で新たな制度を作っていると理解すべきだ。
 今議論しているのは国と個人・私有財産の関係。私有財産である住宅本体に支援を差し控えるのは、国家と個人との関係に悪い影響すら与えることも考えなければならないからだ。私有財産に、国家が関与できる、私有財産形成に国家が金銭を支援する「ルビコン川」を渡る論理があるのか。

  それは古くからの議論だが、平成10年の法制定、春の改正時に一歩踏みこんだ法制度を作った。その後の一連の被害、みなさんの要望を受け、もう一歩踏み込むべきだというのが現時点だ。

 福井委員 議論のはぐらかしだ。答えがない。法案に書き込むまで国家と個人・私有財産との関係を憲法から演繹的に論理構築をするところまで立ち至っていない。
 一番大事なのは「心がマニュアルを超えること」。そういう行政にしなければならない。現場で心ある人が対応できる理を持った後方支援をする。現場の心が最大限に活躍できるようにするのが使命だ。
 私有財産に直接金を差し上げるには理がいる。まだこれからの宿題だ。
 世論もそこまでは考えていない。今回のような量的スケールだからそういう議論がおきるわけで、四国、近畿、静岡、関東と一桁あるいは二桁違う、阪神淡路でも50万棟が全壊半壊。もっと量的に増えたとき同じ世論がおきるかどうかは別の話。国民の評価軸が変わる。そこも考えなければならない

 阪神淡路の経験をふまえて、自分の家で圧死した方が8割強だ。今でも耐震性が不足しているのが1150万戸。これを何とかしようというのが課題の第一番。事前の耐震補強がもっとも大事。提案の法律ができた時に、自主的に事前に耐震補強を行った方、そうでない方と明らかに矛盾が生じる。何もしていないでグシャっといった人と、補強したけれどちょっと壊れた人との不公平が生じる。
 明らかな予測される不公平は、自分で自分の命を守る自助努力の意欲を疎外することになるので、私有財産に国家的な金銭的な支援を直接するのは望ましくないという議論がある。

  自助・共助・公助すべて大事だ。指摘のことが耐震化を阻む要因とは考えていない。地震保険の加入率も増えている。公的支援をして自助が損なわれることはない。

 福井委員 自助努力が最大の問題だが、提案の法律ができてしまうと、地震保険のインセンティブもはっきりいってなくなってしまう。地震保険は平成14年度末で3割の世帯がかけている。これを増やさなければならない。自分で耐震工事もしてもらわなければならない。事前の自助努力が一番の課題の根幹ととらえている。その施策をもっとすすめなければならない。
 4年を目途に制度の見直しを行うとした付帯決議の重みをどのようにとらえているのか。

 泉 付帯決議のポイントは見直すということ。4年しなくていいということではない。その後に台風や震災で多くの被害者が出た重い事実を受け止め、できるだけ早くとういう趣旨で提出した。

 福井 いすれにしても我々はこの法案には賛成しかねる。