2003年10月31日


「ある政党」 県民クラブは説明責任果たせ 社会党が橋本氏支持直前に笠誠一氏と接触



                  笠氏の電子手帳の記録より

 県議会で自民党とともに橋本大二郎前知事の「平成3年県知事選挙資金疑惑」を激しく追及して辞職勧告を提案した旧社会党の流れをくむ「県民クラブ」は、笠誠一氏が裏金の大きな使途として証言している「ある政党に渡した金」について、県民に説明する必要があります。

 笠氏が「ある政党」についてはじめて言及したのは平成15年10月9日の企画建設委員会。日本共産党と緑心会の牧義信委員質問に答え(敬称略)、
  一番大きく使ったのは、ある政党に選挙資金として渡したのは大きいですよね。
  ある政党とはどこか。
  いや。それは忘れちゃったですよ。
と述べています。その後の証人尋問の中でも繰り返し質問が出ましたが、笠氏は「忘れた」の一点張りで答えませんでした(別項)。

 「政党に渡した」ことを覚えていて政党名を忘れることなどありえず、笠氏の橋本知事追い落としに不利になることは、一切口にしないという特定の政治的意図が浮き彫りになっています。笠氏は何故にこれほどまでにして「ある政党」を隠すのでしょうか。

 当時の選挙の構図

 平成3年当時の選挙の構図を振り返ると、自民党は中内県政時代に副知事を務めた川崎昭典氏を公認。日本共産党は森清一郎氏を推薦していました。社会党は橋本大二郎氏を支持、公明党・創価学会は自主投票でした。
 笠氏が、対立している自民党、日本共産党に金を渡す理由がありませんから、自ずから対象は限られてきます。
 
 さらに、百条委の調査の中で、自民党や県民クラブ出身の委員である坂本茂雄委員が再三再四、証拠能力の極めて高い「物的証拠」として引用していた笠氏の電子手帳の記録には、10月11日に「社会党 岡崎」「県職労 池添 電話」という記述があります。

 社会党県本部が正式に橋本氏の支持を決定したのが10月19日。この直前に笠氏が社会党県本部や県職員労働組合幹部と接触していたのです。当時政党として橋本氏を推したのは唯一社会党だけでした。社会党以外の関係者の名前は笠氏の証言や記録からはまったく出てきていません。

 沈黙する県民クラブ

 「ある政党への金」は百条委がクロ認定したはずの「談合で捻出した裏金」の重要な使途であり、真相解明にとって避けて通れないはずです。橋本サイドの「疑惑」については、県庁内から収集した情報に基づき実に細かく執拗に追及してきた県民クラブの坂本茂雄委員がどうしたことか「ある政党」についてはまったく質問せず沈黙していたことは非常に特徴的です。

 「ある政党」が社会党ならば、百条委がクロ認定した談合で捻出した裏金は社会党にも流れ込んでいたことになり、県民クラブは批判している橋本氏と「同罪」ということになります。
 県民クラブには、平成3年当時、社会党議員として、事情を知る江渕征香議員が現在も所属しています。まして江渕議員は百条委の副委員長まで務めたのですから、「ある政党」とは、社会党なのか、それとも違うのかを県民にはっきり答えるべきではないでしょうか。

 ある政党についての笠氏の証言

 16年1月15日 中内桂郎委員(21県政会) 集めた金額1億円を多く使ったのはある政党だということを証言しているが、どの政党か。
  いやあ、ちょっと忘れちゃったですね。
 8月5日 田頭文吾郎委員(日本共産党と緑心会) ある政党ということを覚えていて政党の名前を忘れるということは普通あり得ない。
 笠 いや、あります。それは委員の頭だったらそういうこともあるかもわからないけど、私の頭でしょう。
 田頭 政党に渡したことは分かっているけれども、政党の名前は忘れるということか。
 笠 わからないです。そういうように本人が言っている。
 樋口秀洋委員(県政新風会) 政党と言っても人物。国会議員、県会議員、市会議員のどれだったか。
  いや、ちょっと分からないですよね。
 樋口 当時その政党に1500万円が動いたと聞いた記憶がある。そのくらいの金額だから覚えているのではないか。
  それが分からないんですよね。