台風23号 「室戸台風」以来の大波が室戸市を広範囲に直撃
10月20日に高知県に上陸し横断した台風23号は県下各地に大きな被害をもたらしました。今回とりわけ大きなダメージを受けたのが室戸市でした。同市高浜の市営住宅では堤防が破損し波が住宅を直撃し3人が死亡。他にも吉良川地区から室戸岬に至る広範な海岸で住宅や道路へ波が押し寄せる被害が続出しました。
被災者の話を総合すると、被害が発生したのは14時半すぎ。居宅でテレビを見ていたところ、いきなり津波のような大波が押し寄せたという声が聞かれました。波状的に堤防を越波したことによるものはなく、巨大な1つの大波が室戸市の南西に向きの海岸線に同時に押し寄せた「津波型」被害と思われます。「いっぺんにズンときた(武井啓平・室戸市長)」。波高は17メートルと言われていますが、「測定機が壊れたため計れていない。18メートル以上あったのではないか(県室戸土木事務所)」。広範囲にかつ同時多発で被害が発生したため、行政の対応や救助活動にも支障がでました。
高浜地区の住宅被害は堤防が壊れたことが要因となっており、住民からは「これでは怖くて住めない。県は早急な対応を」という要望が出されています。
新村漁港では8隻の漁船が港内に沈んだり、流される甚大な被害。波消しブロックが港の出口をふさいでいて漁に出られない状態です。地元漁師は「70歳の漁師もこんな波は初めてと言っていた。漁師は台風の怖さは分かっているつもりだが、まさかこれほどの大波がくるとは。昭和9年の室戸台風以来ではないか」。
坂本地区の釣具店は店舗がほぼ全壊。1000万円相当の竿やリール、エサなどの商品が流失し、「月末には支払いがある。どうすればよいのか」という悲痛な声が聞かれました。吉良川郵便局も浸水し、配達用のバイクが流され、業務に影響が出ました。
今回の異常な高波の背景には、@気圧が低いまま台風が接近し、満潮とも重なって潮位が2メートルも上昇していた、Aうねりが室戸市の海岸を直撃する方向だった、B砂浜が減ったために波が直撃しやすくなっていたことなどが考えられます。この他に県東部では奈半利町や安田町、安芸市下山地区、芸西村などでも被害が出ています。22日には日本共産党の米田稔県議、春名なおあき前衆議院議員が被災地に入り被害の実状を調査しました。
うねりの方向
室戸市の被害の様子 10月22日
高波に飲まれ3人が死亡した室戸市高浜の市営住宅
壊れた堤防の「波返し」 下部と連結している鉄筋は切れていた
1階が波に襲われた釣具店 1000万円相当の商品が流された 室戸市坂本
新村漁協では8隻が沈んだり流された
押しつぶされた車 吉良川町