2004年9月12日


県立高校から普通科が消えていく・・・ 県教委の上からの高校再編に不安の声


      普通科が1クラス削減される県立小津高校


 県教委は平成17年度の全日制県立高校の入学定員を、生徒数減少を理由に16年度より510人少ない5680人にすることを発表しましたが、そのうち普通高校の定員減が半分を超える260人になっています。生徒・保護者には「普通科で勉強したい」という思いが強いにもかかわらず、普通高校から重点的に定員を減らす「上からの高校再編」に県民から不安の声が上がっています。
 今回の入学定員の削減分は、東部学区 城山(普)40人、高知学区 高知西(普)40人、小津(普)40人、岡豊(普)40人、高知東(総)40人、高知農業40人、丸の内20人※、高吾学区 窪川(普)40人、須崎(総)40人、幡多学区 中村(英)40人、大方(商)80人、宿毛工業(工)50人で、幡多学区の大幅な定員減と共に、高知市をはじめとする普通科削減の多さが目立ちます。
 さらに今年度から県立安芸、高知南、中村中学の卒業生320人の高校進学が始まるため、公立中から受験する生徒には320人の普通高の定員が実質的に減らされたことになります(南高校普通科に高校受験で入学できるのは40人程度)。

■影響が大きい高知市

 県教委は生徒や保護者の声を押し切り室戸、高知東、須崎、宿毛高校を普通高校から総合学科高校に改編してきました。さらに普通高校の定員減をすすめることで、普通高校を希望しても地域に受け皿がなく選択できない生徒増加に拍車がかかる恐れがあります。
 中でも高知市の影響は大きく、追手前高校を平成10年から学区を廃止して全県一区コース制にしたことに加え、今回の小津・高知西、高知市内から多くの生徒が受験する岡豊のクラス減、高知南の実質的な大幅定員減により、普通高校をめざす公立中の受験生には「狭き門」となります。
 内容を知った高知市内の中学校PTA会長は「えっ本当ですか。それは心配」と驚きの色を隠しません。高知市立中学校の保護者は「多くの子供の選択肢になる高校がバッサリ減らされ影響は大きそう。ますます高知市内の子供はきびしくなる」。
 普通科が「消える」一方で、専門高校の卒業生は「51%が大学専門学校に進学」(高知農業)、「50%が進学」(宿毛工業)と普通科化して、専門性が生徒のニーズとかみ合っているとはいえない状況をみても、普通科を減らすのではなく存続・拡大が生徒・保護者の要求と合致する方向です。

■背景に教育の「複線化」

 県教委が普通高校の定員を重点的に減らす背景には「少数のエリート」と「エリートに使われるその他」という「人作り」をすすめる「教育の複線化」を求める財界・文部科学省の戦略があります。
 県民の要求と乖離した「上からの再編」をすすめれば、県立高校の存在意義を県教委自ら失わせることになります。生徒や保護者が求める学校像、高校卒業後の進路実態、地域社会の県立高校への期待に応える「高校改革」が求められています。
 吉岡太史・県高教組教文部長の話 生徒や保護者の願いから出発するのではなく、高校と事務局の都合のような定員削減が目に付く。高校の30人学級も含め、これからの県立高校のあり方を生徒、保護者、教職員、地域住民とともに話し合って方向を決めて行くべきだ。
 ※丸の内は音楽科を併設した全県一区男女共学の単位制普通高校に。音楽科を除く定員は140人で昨年より20人減。