橋本知事が義務教育費負担金など国庫補助金の削減に賛成 全国知事会議
橋本大二郎県知事は8月19日、新潟市で開かれた全国知事会議で、「三位一体の改革」に伴って地方側から削減を求めていく約3・2兆円の国庫補助・負担金(義務教育費国庫負担金のうち中学校教職員の給与分8504億円を含む)に賛成しました。義務教育にかかわる国庫負担金を削減し一般財源化することは、地方の財政力によって義務教育水準に格差が生じる危険があることから、「教育を金で論じるべきではない」、「義務教育への国の責任放棄だ」という批判が出ていました。反対したのは群馬、山梨、長野、三重、広島、愛媛、大分の7知事。
これまで橋本知事は削減に賛成するトーンを色濃く打ち出しながらも、最終的な賛否の判断を明確にしていませんでしたが、今回の知事会議では挙手による採決で賛成にまわりました。
橋本知事はこれまで国庫補助負担金削減に賛成する前提として「地方交付税で財源が確実に保証されるなら」と盛んに言ってきました(後述)。しかし削減分に相当する財源が保証されるなどということには全く説得力がありません。知事自身、県財政の困難性や市町村合併をすすめようとする時には交付税が連年大幅にカットされ「予算が組めない」と国の横暴ぶりをさんざん批判してきたはず。予算が組めないほど総額が削られている交付税に、「財源保証」を求めてもそれは空想的というものです。義務教育への国の責任を明確にした負担金を存続させることが、高知県のように僻地が多く教育のコストがかかる地域の教育を守って行く上ではずっと現実的ではないでしょうか。
7月県議会 米田稔議員の質問への知事の答弁の抜粋
県知事 憲法や地方自治法に基づいて国がその義務と責務を果たすことを前提に対応すべきだというお考えや、国の過剰な規制を見直すべきだとのお考えには全く異論はありません。ただ、本来、三位一体の改革で問われていますのは、国がその義務を果たす場合に、これまでのように国庫補助負担金という仕組みを通じて行うことが唯一最良なのかということだと思います。
例えば義務教育の分野なら、教員の定数の基準を定めていますいわゆる標準法や、地方交付税の制度を通じ、国が確実に財源の保障をするならば、一般財源化をされた方が、地域の実情にあった、より柔軟で、質の高い教育を実現できますし、併せて負担金の受け入れに伴います煩雑な事務も、簡素化することができます。
私自身はこうしたことも慎重に見極めながら、地方分権をすすめるという立場から、まずは国から投げかけられた3兆円の税源移譲を確実に勝ち取ることを前提に、最終的な判断をしていきたいと考えています。