こうほく3町村(土佐山田町、香北町、物部村)の合併も撤回へ 物部村と香北町の住民アンケートで反対が5割超える
物部村のアンケート結果(8月1日)
1日、物部村と香北町で「こうほく3町村」(物部村、香北町、土佐山田町)の合併の是非を問う住民アンケートの結果が発表され、物部村・香北町とも「合併反対」が5割を大きく超え3町村による合併を否定する民意が示されました。また同日投票された土佐山田町の住民投票は前日からの台風と豪雨の影響の中で投票率が41・15%にとどまり、同町の住民投票条例に投票率が5割に満たない場合には開票しないという規定があるため無効となりました。
物部村のアンケート結果は、合併に「賛成」と「どちらかといえば賛成」の合計が36・69%。「反対」と「どちらかと言えば反対」が57・82%。香北町の結果は賛成38・41%、反対55・40%。
住民が合併の意思表示をするアンケートを前にして、橋本大二郎県知事は「合併にアクセルを踏む」と発言して、3町村に自ら乗り込みました。説明会では「合併してもやっていけるとはいえない」と合併をバラ色に描くこととは一線を画しながらも、「合併するしかない」と大々的に住民に訴え。また物部村では執行部が住民に配布したアンケート用紙に一方的に「合併するしかない」と書かれた資料を添えるなど、国・県・村執行部に地元新聞が加わって総掛かりで合併を事実上強要しましたが、住民は反対の意思を明確に示しました。
結果を受けた宗石教道村長は「これだけ差があるとは」と驚きを隠せない様子でしたが、「住民の審判は厳粛に受け止める」と「こうほく3町村」の合併からの離脱を表明しました。
無効になった土佐山田町の住民投票には、同町繁藤で時間雨量が110ミリにも達する記録的豪雨に見舞われるなど災害発生が心配される悪条件にも関わらず4割を超える住民が参加しました。町総務課長も「この雨でなければ5割は超えたと思う」。にもかかわらず開票せず住民が結果を知ることができないことは、なんとも後味が悪く、後にしこりを残しました。
「こうほく3町村」の住民の意思決定は、「合併しなければ路頭に迷う」と国と一体になって町村を恫喝し、合併に追い込むような県市町村合併支援室の方針、知事が住民の判断に強引に介入するようなやり方の再検討を求めています。
長野県では合併する、しないにかかわらず、真剣に町村に向き合い、自律的に運営できる地域づくりへと力を尽くしています。知事は7月県議会で「長野県に遜色のない取り組みをする」と発言しましたが、今こそ、この立場に立ちきることが求められています。
合併反対を訴えた森本珠城・物部村議の話 村執行部の合併を強行する姿勢に危機感を感じた村民が多くいたと思います。私たちが訴えてきた合併のデメリット論にも一定理解が広がりました。この結果をバネに、自律した地域づくりをめざして取り組んでいきます。