2004年8月1日


「知事は市町村合併の押しつけやめよ」 米田稔議員(日本共産党と緑心会)が代表質問 7月県議会


          質問に立つ米田稔県議
   

 7月20日の県議会定例会で日本共産党と緑心会の米田稔議員が行った代表質問のうち、地方交付税と国庫補助負担金について、市町村合併についての部分の質問と知事答弁の要旨を紹介します。

 地方交付税と国庫補助負担金 

 米田 地方交付税は福祉や教育を、国民の権利である水準をどの自治体でも提供できるように国が保障する制度。国庫補助負担金も約7割は福祉・教育への義務的支出で地方の財源保障の柱だ。国は「税源移譲」の前提に国庫補助負担金の3兆円削減を地方に求めているが、横暴なやり方を認めるべきではない。憲法・地方自治法に基づき国が責任を果たす立場で臨むべき。地方交付税の財政調整機能の堅持、ナショナルミニマムを保障する国庫補助負担金は存続し、公共事業など特定政策を奨励する補助金の見直し、国からの過剰な規制の改革こそやるべきだ。
 
 県知事 憲法に基づいて国が責任を果たすべきということに異論はないが、「三位一体の改革」で問われているのは国が義務を果たす場合、国庫補助負担金という仕組みが唯一最良なのかということ。国が確実に財源を保障するなら一般財源化されたほうが地域の実情にあった柔軟で質の高いサービスを実現でき、事務も簡素化できる。全国知事会でも税源移譲されるべきという議論と同時に、慎重な対応が必要との議論もあり、慎重に最終的な判断をする。

 財政危機の認識

 米田 知事は財政危機を宣言し、現実的な対応の必要性を強調しているが、国の攻撃に屈して県民に痛みを押しつけることがあってはならない。
 
 県知事 「三位一体」を批判する声が地方からあがっているにもかかわらず、地方が無駄遣いをしているという宣伝が続いている。地理的な要因から多くの行政需要をかかえる本県にとって、「地方無駄遣い論」や、地方交付税の一方的縮減は致命傷になりかねない。
 誤った認識に警鐘を鳴らし、国の政策を転換させるため、まず自ら徹底した改革を行い多くの国民に賛同を得る努力が必要。県民生活・経済に甚大な影響がでる財政再建団体に転落する事態だけは何としても避けなければならず、痛みを伴う判断も必要になる。

 市町村合併

 米田 今回の合併は自治体リストラと財界本位の地方制度作りに狙いがある。進め方がまったく国の押しつけで、事実上の強制合併だ。合併に進む自治体の一方で、合併に反対する選択もひろがっている。住民の選択をどう受け止めているか。

 県知事 説明会への住民の参加が少なく合併の全体像に理解が得られなかった。合併の判断のために充分な情報を総合的に考慮し、将来を見据えた判断が大切だ。こうした面でこのままでいいのだろうかと思い「アクセルを踏む」と発言した。
 それぞれ住民の主体的な判断の結果という見方もできるが、一部の判断で全体の枠組みがつぶれることに周辺市町村の住民から落胆の声が寄せられているのも事実だ。

 米田 「アクセル発言」は大きな波紋を広げ、県政不信がひろがっている。「合併はあくまでも住民が決めること」「押しつけはしない」という基本スタンスの転換だ。

 県知事 合併は自主的に選択すべきとのスタンスを変えるものではない。ただ「三位一体の改革」など急激な財政状況の悪化を考えると、市町村合併は将来自立した地域経営の大きな選択肢。地域で意見交換することにより合併問題への理解が少しでも深まるなら、積極的に対応していきたい。

 米田 7月4日の「こうほく3町村」の物部村、香北町の説明会で知事は「合併すればよくなるかと問われれば、決してはいとは言えない」と言いながら、合併しなければ予算が組めないと合併を迫った。感情と焦燥感だけで、住民が納得できる論理的な説明はない。結局は押しつけだ。

 県知事
 合併を押し付ける考えはまったく持っていない。ただ地方交付税の大幅削減で、状況は一変し、地方財政が好転する見込みもない。合併したからと言ってそれだけで、すべてうまくいくわけではないが、合併をきっかけに積極的な行財政改革を行うとか、財政的な支援措置等を活用して足腰を強める視点を持つことも大切だ。

 米田 現状では合併しても、しなくても国がごり押ししている交付税削減の影響は必至であり、「三位一体の改革」の厳しさは合併の直接の理由にならない。合併しなければ予算が組めないが、合併したら組めると言う根拠は何か。「10〜15年後より、まず今の危機を乗り切るため」とも発言しているが、地域の将来を決める合併本来のあり方をないがしろにするものだ。

 県知事 合併すればそれですべてうまくいくということではない。合併したら予算が組めると短絡的に言ったつもりはない。合併すれば単独の場合に比べ選択肢が広がると言っても事実に反してはいない。

 米田 物部村の説明会のテープも聞いたが、知事は「合併したら予算が組める」と言っている。合併したら安定的な行財政ができるという根拠は示されていない。

 県知事 合併したら安定した行財政運営ができると断言しているわけではないが、単独では極めて危機感が大きい。合併すれば小なりとはいえ規模のメリットはある。財政面だけでなく職員の意識、仕事の内容も違ってくることが行財政改革につながる可能性もある。

 米田 合併最大の「メリット」とされる合併特例債の計画は役場庁舎、道路、橋、消防庁舎などハコ物が重点で新市の発展につながるのか疑問が出ている。交付税総額が下がる中、特例債返済による財政硬直化、維持費増大など一層の財政危機を招きかねない。

 県知事 他県で特例債を枠いっぱい活用した結果、財政硬直化を招いていることは承知している。本県では、財政計画作成は堅実な見通しをたて、特例債も慎重な扱いをしており、いずれの協議会も将来の財政状況を見すえ有効で堅実な利用を目指している。

 米田 長野県では市町村自律支援プランを作成し具体化をしている。自律めざす市町村への支援を本気で考えるのが県の責務だ。

 県知事 合併しない選択をした市町村、合併を望みながらまとまらなかった市町村への支援は当然の務めだが、将来的に財政面で支え続けていくのは困難。長野では広域行政や事務委託などの研究がされているが、本県も合併の動向を見ながら研究を進めていく。長野県と遜色のないとりくみができると考えている。