2004年7月25日


町の将来決めるのは町民 土佐山田町で8月1日に町村合併の是非問う住民投票


             役場の広報車


 土佐山田町・香北町・物部村による合併の是非を住民に問う住民投票が、土佐山田町で8月1日に投票されます。7月17日には橋本大二郎県知事が同町の「説明会」に出席し「合併を無理強いするものではない」と言いながら住民を合併へとせき立てました。一方で合併に反対する住民有志は「合併に反対する町民の会」をたちあげ、立て看板、宣伝カー、ビラ配布で「合併はまだ決まっていません。決めるのはみなさんの投票です」と訴えています。

■最大の「メリット」は 

 「ことここに至ってはアクセルを踏む」と繰り返し発言している橋本知事ですが、物部村、香北町の説明会と比べて発言に微妙な変化が見られます。とりわけ土佐山田町の説明会では合併の「メリット」強調のトーンが下がっていることが感じられました。
 門脇槙夫町長が「自立を選択した場合、今までのサービスを圧縮し、痛みをわかちあってもらわなければならない。理解を」と合併すれば今まで通りやっていけるととれる発言をしたのに対し、知事は「合併すれば大丈夫です。今のサービスがすべて維持できるとは言えない。合併さえすればなんとかなるというものではない」と過去2回の説明会以上に、合併後の見通しの苦しさについて釘を刺しました。
 その代わりに土佐山田町の説明会で新たに強調された合併の最大の「メリット」は、合併によって「新しいまちづくりへの思いが出てくるであろう。合併を選択するのであれば一番大きな利点だ」。「前向きに考える機運が起きれば、合併は意味がある。合併して終わりではただ特例債を使って借金を抱えることになりかねない」など抽象的な話をしました。

■「誰も計算できない」

 知事は、合併することにより将来大きく交付税が減るという主張に対し「今後地方交付税がどうなっていくのか、まったく予測ができない。10〜15年後にどちらが損か得かということは、今の時点で明確に誰も計算ができない。10年〜15年後以前に、ここ2〜3年を乗り切るのが問題だ」。
 「将来を見据えた選択のために説明責任を果たせ」と強調しておきながら、合併すれば算定一本化で合併しない場合よりも交付税が大きく減ることははっきりしているにもかかわらず議論から逃げています。知事の言い分は合併すればやっていけるという法定協の試算をも否定する矛盾したものです。

 また知事は「香美市」の「まちづくり計画」のうち学校の耐震化とデジタルテレビへの対応を前倒しで進めることができることを強調しましたが、役場の新庁舎建設のために特例債の借金の大半が注ぎ込まれるという「計画」の根幹部分にはこの日の説明会でも触れないまま。気に入ったところのつまみ食いの感は否めません。

■「5割規定」に批判噴出

 この日の説明会でもっとも批判が集中したのが、住民投票の投票率が5割を割った場合には無効とし開票しないという規定でした。
 町民からは、「法定協に入る時のアンケートは回収率36%。これで今まで合併をすすめようとしてきた。住民投票で5割を割れば開票もしないというのは納得がいかない」、「情報公開の精神から言っても閉鎖的だ。町民には結果を知る権利がある」、「投票所まで足を運ばせておいて結果は知らせないというのは町民を愚弄している」など厳しい意見が続出しました。

 「5割を割った場合の判断はどうなるのか」との質問に門脇町長は「執行部と議会に委ねられたと理解している」と述べ事実上、合併推進にすすむと表明しました。