2004年7月11日


土佐山田ゴルフ倶楽部ヤミ立替問題

金額・念書の存在隠したままで何を審議したのか 



 大旺建設名誉会長や依光隆夫自民党県議、高知新聞社長らが取締役を務める土佐山田ゴルフ倶楽部(経営は土佐山田観光開発)が同町の山田北部土地改良区に負担しなければならない約4200万円を、土佐山田町が不正常なヤミ立て替えをしていた問題で、同町の石川晴雄助役や高知新聞社は「議会に報告されており問題ない」とコメントしています。しかし実態は議会や町民に説明責任を果たしたと言えるようなものではありません。

「報告」に金額なし
 
 高知新聞社長室長は平成13年3月議会で(8日)、当時の武内孝彦町長が行政報告で「ゴルフ場の負担金を向こう3年間町で負担することにした」と述べていることをもって「議会の正規の手続きを踏んでいる」と主張しています。

 そもそも「行政報告」とは議案ではなく、議会が承認する性格のものではありません。執行部が前議会から今議会までの間に議決を経たり根拠条例があるなど与えられた権限内での取り組みを報告するものです。議決も根拠条例もない案件を「報告」の中に紛れ込ませ既成事実化することは問題があります。また「行政報告」は議会当日に口頭のみで行われ、文書では配布されません(日本共産党土佐山田町議団は文書提案を求めているが実現されていない)。

 「報告」の内容にも不可解な点が多くあります。もっとも重大なのは、肝心の金額を隠していることです(この時点での立替え額は約3100万円)。
 また立替えを約束する念書が締結されるのは実際には議会後の3月22日で、報告した8日時点では結ばれていなかったにもかかわらず、その事実にもまったく触れていません。
 具体的な金額の提示や、これから念書を結ぶことに報告で触れていれば、議会の関心を呼んだことは容易に想像できますが、肝心なことは隠したまま口頭報告の中にもぐりこませた「アリバイ工作」といえるものです。
  
念書を3年隠す

 この「報告」後、執行部は沈黙し、3年が経過しますが、16年3月議会に「土佐山田ゴルフ倶楽部への支援を求める陳情」が提案され、日本共産党以外の全議員の賛成で採択されました(内容は固定資産税免除、山田北部ほ場整備事業に係る支払い延期継続、公共事業によるゴルフ場周辺整備、地元住民との仲介など)。
 当初は継続審議になると思われましたが、執行部から「3月議会であげてほしい」という強い要請があり、強引に採択されています。町民に問題が明らかになる前に、議会に陳情を上げさせて立替え継続の「根拠」にしようという執行部の意図が感じられます。

 この陳情の審議の中でも、具体的な立替え金額(この時点で4200万円になっている)、立て替えの期限、念書の存在すら議員には知らされていません。肝心なことが何も分からないまま、日本共産党以外の全議員が賛成しているのです。

 議会終了後、笹岡優・日本共産党同町議が執行部に要求して、やっと「念書」が出てきたのが3月末。平成13年の「報告」時はもちろん、16年3月の「陳情」採択の時も、執行部は最も重要な金額、期限、念書の存在を議会に隠していました。
 最も重要な情報を秘匿したままで何を「報告」し、何を「審議」したというのでしょう。

町長が株主総会に出席

 これまで手続きに不正常な点が多々あったとはいえ、現時点で土佐山田町は、土佐山田ゴルフ倶楽部に対し、17年3月末までに立替金を返還し、以後の負担の履行を求める立場に立っています。

 土佐山田町はゴルフ場を経営する土佐山田観光開発(株)の株主でもあることから(町長が理事長を務める開発公社が600株、土佐山田町が400株を所有)は、6月30日に開かれた同社の株主総会に門脇槙夫町長が出席。決算書に未払い分が計上されていないことを指摘し、立替え分の返済と今後の支払い履行を求めました。
 土佐山田観光開発が、17年3月に町に支払わなければならないのは、これまでの立替え分に16年度の支払い分を加えた約5260万円。平成33年までの残債総額は約1億5900万円にのぼります。