2004年6月8日


経営のツケを町民の税金で穴埋 土佐山田町が土佐山田ゴルフ倶楽部に4200万円のヤミ立替 経営陣に大旺・中谷健氏、高新社長、自民党・依光隆夫県議


土佐山田ゴルフ倶楽部(土佐山田町楠目) 18ホール、全長7144ヤードの本格的チャンピオンコース


         平日も駐車場は満杯だった


 土佐山田ゴルフ倶楽部(香美郡土佐山田町楠目)が同町の山田北部土地改良区に負担しなければならない約4200万円を、土佐山田町が不正常な立て替えをしていたことがこのほど明らかになりました。ゴルフ場を経営する土佐山田観光開発(株)の代表取締役は大旺建設名誉会長の中谷健氏、取締役には高知新聞社長の岩井寿夫氏、依光隆夫・自民党県議など“大物”がズラリ。県内トップ企業と自民党県議が経営する会社のツケを町民の血税で払わせることに批判が高まりそうです。

 問題の負担金は、ゴルフ場の開設にともなう地元補償として、同土地改良区がほ場整備の費用として農林漁業金融公庫に返済する金額のうち(平成2年から平成33年)、町が補助する2分の1を土佐山田観光開発が支払うというもの。平成2年に、当時の町田守正町長と中谷健代表取締役との間で覚書が締結されています。

■破綻

 平成2年から11年までは約束通り支払いがされていましたが、12年度から計画が破綻します。景気低迷とともにゴルフ場の経営が悪化する中で、平成13年3月22日に12、13、14年度分の約3100万円の支払いを延期する協定が当時の武内孝彦町長と土佐山田観光開発で結ばれ、議会にはからず立て替えが行われていました。立替金は14年度を終えても返済されず、町は催促もしていませんでした(協定書には返還期限も記載されていない)。

■残債は1億円以上

 平成16年の土佐山田町3月町議会では「土佐山田ゴルフ倶楽部への経営支援を求める陳情」が日本共産党以外の全会派の賛成で採択されています。内容は「固定資産税の免除・減額、山田北部ほ場整備に係る支払い延期の継続(この記事の問題のこと)、公共事業によるゴルフ場周辺整備」などで、町は同陳情が採択されたことを理由に、さらに平成15年度分として新たに1000万円強の立て替えを強行。トータルで4200万円を立て替える新たな協定書を土佐山田観光開発と結びました。しかし、同町にこのような支出の根拠になる条例はなく開き直って行われた不正常な“ヤミ立て替え”です。

 深刻なのは、このままでは町の出費が4200万円では到底すまないことです。土佐山田観光開発の残債総額は、少なく見積もっても1億円以上、1億5000万円〜2億円程度と思われます(町役場総務課に確認したが明らかにしなかったが、後に1億5992万6078円であることが判明した)。同ゴルフ場の経営改善の可能性は極めて低く、これまでの立て替え分が返還されないだけでなく、平成33年度まで億単位の立て替えがズルズル続く危険もあります。
 
■背任行為

 多くの企業が不況下で経営に苦しんでいる中、なぜ特定の企業だけがこのような「支援」を受けることができるのでしょうか。土佐山田ゴルフ倶楽部は地元では「大旺のゴルフ場」として有名でした。大旺建設以外にも高知新聞社長、西山グループ、入交グループ、竹内建設、中澤氏家薬業、晃立、栗田商店、四国銀行関係者も経営陣に名を連ねています。
 文字通り高知県経済界の中枢メンバーのオンパレード。決定的なのが土佐山田町政に絶大な影響力を持つ地域ボス・依光隆夫自民党県議の存在です。この有形無形の圧力が、町を不正常な行為に走らせたことは容易に想像できます。
 企業のツケ払いのために根拠もなく税金をつぎ込むことは許されません。町執行部は、このような行為は「県ヤミ融資」と同様、背任に問われかねない重大問題であることを認識する必要があります。土佐山田観光開発経営陣に経営責任を果たさせ、4200万円の町への返還、平成33年まで負担をきちんと履行させる以外、信頼回復への道はありません。


        役員には県内経済界トップと依光・自民党県議が名を連ねている