「記憶にない」で進展なし 中谷明・大旺建設副会長、井添元県土木部長らを尋問 県議会百条委
「歳なので覚えていない」と、ほとんど証言しなかった中谷氏
県が発注した坂本ダム工事の談合と、平成3年当時の橋本大二郎県知事の「選挙資金疑惑」について調査している「県議会・坂本ダム等に関する調査特別委員会(百条委員会・元木益樹委員長)」は5月7日、証人尋問を行いました。証人は中谷明・大旺建設副会長、小田尾博・元戸田建設高知営業所長、井添健介・元県土木部長、元県本山土木所長の4人。
中谷氏に対しては、坂本ダム工事入札前後の経緯や資金提供の有無を問う質問が出されましたが、中谷氏は「歳なので覚えていない」とほとんど何も証言せず談合と資金提供を否定しました(※坂本ダム工事の入札には大旺建設が指名停止中だったため子会社の大旺土木が参加)。
田頭文吾郎委員(日本共産党と緑心会)の「金を出してないなら笠氏を訴えたらどうか」という質問に対しては「記憶も定かでない。訴えるつもりはない」と述べました。
中谷氏の徹底した非協力的姿勢には自民党議員からも「多額の公共事業を受注している四国でも有数の企業のトップとは思えない」と批判の声が聞かれました。
小田尾氏も談合・資金提供を完全に否定しました。
井添・元県土木部長(現在は大旺建設専務)には、坂本ダム入札は談合だったか、国分川土地問題への対応、熊谷組に県OBを再就職させる紹介の有無などの質問がありました。
井添氏は「談合とは考えていない」「再就職を紹介したことはない」と述べ、国分川の土地問題については平成11年井添部長時代に県が和住工業から川底を買収する方針をとったことについて「川底を買収するという考えは当時も今もない。買収というのは2号地のことではないか(堤防部分の民地)」と正当性を主張しました。
熊谷組に再就職した経緯を聞かれた元県本山土木所長は「熊谷組高知営業所長から話があり再就職したが、私の就職と坂本ダムは関係ない」と述べました。
この日の尋問は物証がないままに建設会社に「談合したか。裏金を出したか」と問うものでしたが、「記憶にない」と言われるとそれ以上突っ込みようがなく、真相解明にはつながらないものでした。貴重な県費と時間を費やして調査にあたっている百条委はダラダラと尋問対象を拡散していくだけでなく、物証に基づいてつめるべきところをつめ、調査をまとめる方向性を県民に示す時期にきています。