2004年4月18日


笠氏さらに2000万抜く 建設会社からの金に一定の裏付け 旧社会党関係者の名前も 県議会百条委



                     笠氏をめぐる巨額の金の流れ


 県が発注した坂本ダム工事の談合と、平成3年当時の橋本大二郎県知事の「選挙資金疑惑」について調査している「県議会・坂本ダム等に関する調査特別委員会(百条委員会・元木益樹委員長)」は4月8日、会議を開いて金融機関から入手した資料について討議しましたが、この中で笠誠一氏が、建設会社から受け取たと思われる金やその使途がかなり明らかになってきました(図参照)。

 笠氏はこれまで、建設会社から裏金を合計2億300万円集めたと言っていましたが、平成3年12月に計5800万円の相手先不明の入金が四国銀行の笠氏名義の口座にあったことが確認されました。建設会社からの裏金の一部と考えられます。
 また新進建設が平成4年2月27日に小切手1000万円を現金化していたことも明らかになり、この金を笠氏が受け取り町田照代氏の経営する会社に返済する1億円の一部に充てていた可能性が出てきました。同時に日時や金額などの細部では、笠氏の証言とはかなり食い違いが残っています。
 
■「錬金術」

 裏金の使途について新たな事実が判明しました。
 笠氏は平成3年11月14日に1000万円、11月27日に1000万円を東京産業信用金庫穴守支店の自らの口座に入金していました(高知信用金庫本町支店から送金)。
 笠氏は集めた金から1000万円を使い(使途は交通費と自分で言っているが詳細は不明)、これとは別にすでに明らかになっていた平成4年3月31日に送金した2000万円とあわせ、自分の口座に4000万円も抜いていたのです。抜きすぎたためか1000万円を戻しています(平成3年12月26日、笠氏の息子の妻の名義)。笠氏が義兄に返済したと言っている2000万円が事実だったとしても(借りたのは3000万円ということになっているがこれも不明)、少なくとも2000万円は笠氏の手元に残った(あるいは使った)ことになります。

 笠氏が、極めて不透明で公私混同した、いかがわしい金銭操作をしていたことが浮き彫りになりました。「知事の窓口」を称して建設会社から勝手に金をせしめては、自分の口座に抜くという「錬金術」の構図がすけて見えます。

■旧社会党関係者も

 金の使途として笠氏本人口座への送金とともに重大なのは「ある政党」に渡した金です。
 笠氏は政党名は「忘れた」(平成15年10月9日県議会企画建設委員会で陳述)と証言を拒んでいますが、この時、「金額としては一番大きかった」と述べていることからも、相当多額の金が渡っている可能性があります。真相解明のためには「ある政党」に渡った金を明らかにすることが不可欠です。

 当時の知事選挙では自民党が川崎昭典氏を公認して当選に総力をあげ、日本共産党が森清一郎氏を推薦してたたかっていたことを考えれば、笠氏が金を渡す対象は自ずと限られてきます。また笠氏の電子手帳には、平成3年10月11日に「社会党O13時〜15時」、「県職労I電話」(実際には両者とも実名)など旧社会党関係者の接触があったことを示す記載があったことも明らかになりました(他党の関係者は出てこない)。社会党県本部は10月19日の県本部委員会で橋本支持を決めています。

 笠氏の再尋問とともに、旧社会党関係者や当時の所属県議(百条委員にもいる)にもよく事情を聞いて、事実関係をはっきりさせる必要があるのではないでしょうか。