2004年3月21日


ビキニ被災者対策急げ 2月県議会で塚地議員が質問




             質問に立つ塚地議員

 3月5日の2月県議会本会議で日本共産党と緑心会の塚地佐智県議の一般質問の一部と執行部答弁の要旨をお知らせします。塚地議員はこの他に保育行政、埋蔵文化財調査、グリーンピア土佐横浪の問題について質問しました。

■低空飛行訓練

 塚地 嶺北地域における米軍機の超低空飛行訓練は、一時は少し減っていたが、最近急激に増えている。本山町役場が集計した記録では2000年26回26機、2001年23回26機が、2003年12月11回12機、今年の1月7回8機、2月までの3カ月で1年分の低空飛行が行われた。
 飛行コースは東から西。横須賀に配置された米空母キティホークの艦載機が岩国に向かうオレンジルートの訓練と思われる。
配備されているのはFA18スーパーホーネットという新機種で、イラクなど新たな戦場を想定した訓練と考えられる。
 アメリカ本土では動植物への影響から禁止されている低空飛行が日本の航空法を無視して堂々と繰り返されていることを許すことはできない。
 知事は県民の安全と平和を守る立場から即時中止を求め、政府と米軍に強く働きかけるべきだ。
 橋本大二郎県知事 国の外交と防衛に関することなので、基本的には日米の国家レベルで議論されるべきだが、県が県民の安全を守る立場から、これまでも実状を訴え中止を求めてきた。今後も粘り強く取り組んでいく。 

自衛隊普通科連隊誘致

 塚地 知事は高知県への自衛隊普通科連隊の誘致を災害対応を最大の理由として積極的に取り組んできたが、今進行しつつある自衛隊の危険な役割と本質を見誤った議論だ。
 第2混成団の旅団化は日米共同作戦、「国際貢献」の新たな事態に即応するための改編。周辺事態法、テロ特措法、有事法制、イラク特措法などによって、自衛隊は本格的に海外派兵をめざす軍隊に変わろうとしている。「国を守る」という本分を逸脱し、県民を守るどころか、まして災害救援などではなくアメリカと一体になって集団的自衛権を行使する海外派兵の軍隊としての役割を担おうとしていることは明確だ。
 知事は香我美町への普通科連隊配置の意図を認識しているのか。災害救援という一任務だけを評価しての誘致ならば自衛隊の本質を見誤り、県民を欺くものだ。
 県知事 南海地震への対応が課題になっている本県にとって災害救助態勢の確立に大きな役割を果たすことから、県内に普通科連隊が配置されるよう積極的に働きかけてきた。香我美町に配置される普通科連隊は600〜700人。災害対応など、県民の期待に応えてもらえると考えている。
 塚地 全国で問題になっている基地公害の中心は自衛隊や米軍の演習。高知の普通科連隊も、重火器の実弾演習なども想定される。全国の演習場で騒音や事故被害が絶えない。県として演習場設置に反対すべきだ。
 県知事 演習場は駐屯地近くにあることが望ましいと国から聞いている。今のところは小規模なもので、訓練内容は陣地構築、小銃の射撃訓練などで周辺地域に大きな影響をおよぼす訓練は想定していない。面積、周囲の環境、経費や取得の容易性を精査して演習場の是非を検討していくとのこと。16年度は予算措置はない。場所が決まったという話は聞いていない。
 塚地 知事の現状認識は甘い。憲法改悪、集団的自衛権を行使する流れの中で、自衛隊が軍隊化していく方向は明確。県民のくらしと平和を守る視点から自衛隊が、そういう方向にいかないよう知事に頑張ってもらいたいと期待する。

■ビキニ被災

 塚地 今年はビキニ水爆実験から50年。「死の灰」をあびた高知の漁船はのべ270隻、実数117隻で被災漁船の3分の1を占め、2000人以上の本県漁船員が被曝した可能性がある極めて重大な問題だ。
 この問題は風化しつつあり、50年を節目として県として歴史的資料を残すべきだ。
 1986年、県ビキニ水爆被災調査団の自主的な健康診断が室戸市と土佐清水市で開かれているが、明らかに若年の病死者が多く、被災者の大半が70代をむかえている今、急いだ対策が求められている。被災者の希望は、ビキニ問題を理解してくれるスタッフの検診。放射線障害の専門医の協力を得るなど検診を充実させる必要がある
 アメリカはマーシャル諸島の島民に91年から健康被害の補償を始めた。88年には広島・長崎に進駐したりネバダやビキニの核実験で被曝した兵士に医療保障が実現している。残されているのは日本の漁船の被災者。この問題は国では決着済として、対応窓口すらなく、社会的に葬られようとしているが、知事のビキニ問題について認識を問う。第5福竜丸の漁船員が被爆手帳を支給されていないことをどうとらえるか。被災50年の節目の今こそ高知県が、未解決の人道問題として「被爆者援護法」にビキニ被災者が含まれるよう国に再検討を要請すべきだ。
 県知事 いまだに核実験が続けられ、世界各地で核の問題が後を絶たない。世界唯一の被爆国民の一人として、抵抗できない無力さを感じる。 
 ビキニ環礁での被災の問題は本来は国が解決すべきものだが、政府は解決済との態度をとり続けている。被災後半世紀が経過して高齢化がすすむ中、風化させてはならないという意見の一方で、そっとしておいてほしいとの声も多くある。こうしたことを考え合わせると複雑な思い。
 被爆者援護法は国の戦争責任を前提に被爆による健康被害の補償のために創設されたので、明らかに他の原因者が存在しているビキニ被災はこの法律になじまない。
 塚地 日米政府間では決着済とされているが、人の問題としはなんら決着していない。国に歴史的事実を明らかにするために、水爆実験の真相と対応策の全貌を公表するよう国に要請してほしい。
 県知事 国家間の問題としては国は決着済と言っている。一方、晩発性障害の可能性がビキニ被災者にもあるといわれ、健康に不安を感じている方がいる。ただ50年を経て晩発性障害を立証することが非常に難しい。決着済かどうかは自分の口からは言えないというのが正直なところ。国にこれまでの調査結果の公表を要請をすることはやる。