2004年2月22日 高知民報


町田氏の偽証告発を確認 熊谷組・新進建設は裏金提供を否定 県議会百条委


  2月13日の百条委員会で証言する新進建設の小川武一社長

 橋本大二郎県知事の「選挙資金疑惑」を調査している「県議会・坂本ダム等に関する調査特別委員会(百条委員会・元木益樹委員長)」は2月13日、橋本大二郎後援会長の町田照代氏が1月29日の証人尋問で、笠誠一氏への1億円の金銭提供を「全くない」と偽る証言をしたことに対し、偽証告発する方針を確認しました。
 この日の委員会では町田氏から提出された弁明書が報告され、扱いが検討されました。中西哲委員(自民)・武石利彦委員(自民)が、「悪意をもった偽証。弁明書も弁明になっておらず、まったく考慮する必要はない。告発すべきだ」と主張。
 牧義信委員(日本共産党と緑心会)は、「告発すべきという意見に同感。ヤミ融資の時も告発で流れが変わり真相解明が進んだ。しかし精査して専門家の指導を得て対応すべき。(ヤミ融資の時に)あれだけやっても一件も起訴まで持っていけなかったのも教訓」と発言。全会一致で偽証告発にむけた取り組みをすすめていくことが確認されました。
 委員会ではこれからの証拠調べについても審議が行われ、牧委員が笠氏が2000万円を自ら振り込んだ東京産業信用金庫の笠氏名義の口座の調査を提起しました。
 元木委員長は「そのことを笠氏に聞いたら、義兄に借金を返したと言っていた」と笠氏と連絡をとっていることを漏らし、調査に消極的な姿勢を見せましたが、田頭文吾郎委員が「義兄に返したという発言は本人が証人尋問で取り消している。笠氏の口座を調査するべきだ」と重ねて要求。元木委員長は「笠氏が経営する会社・左慶の資金の調査と合わせて、検討課題にする」と述べました。

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 13日の百条委員会では小川武一・新進建設社長、熊谷組元四国支店長の土屋貢氏、同元高知営業所長の上野晃氏の証人尋問が行われました。
 3氏は笠氏への「裏金」提供、平成6年に入札された坂本ダムの談合について「笠氏に金を渡したことは全くない」「談合はない」と全面的に否定しました。小川氏は「なぜ自分の名前が出てくるのか分からない。陥れようとしているのではないか。夜も眠れない」、上野氏は「誠橋会」(平成4年1月26日に結成)に出席し、笠氏に顔を覚えてもらうために懸命に動いていたが、3月になると誠橋会がなくなったという噂が業界に流れ、笠氏を訪ねるのをやめた」などと証言しました。

 解説 今回、証言した建設業者関係者が、談合や裏金提供を全面否定することは予想されたことでした。物的証拠がないまま「談合したか」といくら聞いても認めるはずはありません。
 実際には平成3年12月から翌年2月にかけてホテル佐渡を舞台に、橋本知事の「窓口」を自称する笠氏と、取り入ろうとする建設業者との間に水面下で相当な接触があったことは間違いなく、裏金の流れを裏付ける物証を得ることに力を集中する必要があります。
 そのためには笠氏の周辺を調べるのが最短・唯一のアプローチ。とりわけ東京産業信用金庫の笠氏名義の口座は、入手先・使途が不明な2000万円もの大金を笠氏本人が送金していた事実が判明しています。この口座に裏金の一部が流れていたことは確実で、早急な調査が真相解明のためには不可欠。建設業者の「全面否定」を崩していくための焦点になると考えられます。
 元木委員長と笠氏が、委員会に諮らないままに密に連絡をとりあっていたことを委員長自らが明らかにしました。公正な立場で調査にあたるべき百条委員長が調査対象と連絡を取り合っていた事実はゆるがせにできず、波紋を広げそうです。