2004年2月8日 高知民報


送金先は笠氏本人の口座 2000万円の振込依頼書が百条委に提出 


                     笠氏は自らの口座に2000万円を送金していた


 昨年の県知事選挙で橋本大二郎氏へのダメージを狙い仕掛けられた「選挙資金疑惑」を調査している「県議会・坂本ダム等に関する調査特別委員会(百条委員会)」は1月29日、橋本大二郎後援会長で医師の町田照代氏、佐藤工業元四国支店長・斉藤武夫氏、戸田建設の元四国支店長・神毛英一氏を証人尋問しました。町田氏は、笠誠一氏が「町田先生から選挙資金を1億円借りた」と主張していることを「一切ない」と全面否定。斉藤・神毛両元支店長も笠氏が両者から「裏金を調達した」と証言していることを「まったく知らない」と否定しました。

「一切ない」資金提供を完全否定

 町田氏は「(1期目の選挙で)資金調達の相談を受けたことはない。資金の提供は一切ない」、「後援会長として選挙の金にはかかわらないと決めていた」と断言しました。
 自民党議員が「当時建設中(大林組が施工)だった精華園(町田氏が経営する精神病院)の工事費用を笠氏に融通したのではないか」、「笠氏は大林組に送金しているのではないか」などと執拗に食い下がりましたが、「当時は資金に余裕はなかった。おかしな操作をすれば税務署がだまっていない」、「大林組の経理のことが分かるはずがない。大林組に聞いてほしい」と一蹴。1億円の提供はありえないと証言しました。
 町田氏は笠氏が事実無根の主張を繰り返していることに対しては「高齢者の思い違いはよくあること。聞き流したいが、県議がいいかげんな話を裏付けも取らず議会で質問し、(百条委で)税金を無駄使いしていることは納税者として腹立たしい」と痛烈に自民党県議団を批判しました。
 県外ゼネコンの佐藤工業(参加JVが坂本ダムを受注)、戸田建設(参加JVが坂本ダムの入札に参加)の両元四国支店長は「談合について知っているか」との質問に「知らない」、「笠氏は両社から裏金を受け取ったと主張しているが事実か」との問いにも「まったく知らない」と笠氏の証言とメモを全面的に否定しました。

2000万円の振込依頼書が発覚

 この日、同委員会が各金融機関に請求していた調査資料が提出されましたが、この中で笠氏が町田氏に借りた1億円を返済するため高知信用金庫から送金したと主張している平成4年3月に、笠氏が同行から東京産業信金の自分名義の口座宛に2000万円もの大金を送金していた事実が明らかになりました。
 出てきたのは平成4年3月31日付の高知信金本店から東京産業信用金庫穴守支店の笠氏名義口座への振込依頼書。残されている筆跡はまぎれもなく笠氏本人のものです。高知信金は笠氏との取引は他にないと証明。徳島銀行の精華園の口座にも「裏金」を出し入れした動きはないと銀行側は証明しています。
 結局、今回の金融機関の調査から具体的な物証が出てきたのは、笠氏が2000万円の大金を自分の口座に送金していたという皮肉な結果になりました。
 
 解説 平成4年3月、笠氏が自分名義の口座に2000万円を送金していた振込依頼書に自民党議員団に激震が走りました。この他、高知信金本店に笠氏との取引はないことから、「町田氏に借りた1億円を返済する」ため平成4年1月から3月にかけて3000万円、3000万円、40000万円に分けて同行から送金したという笠氏の証言は完全に成り立たなくなりました。
 一方、2000万円を送金した事実は、笠氏が「自分は橋本知事の窓口」と勝手に称して裏金を集めながら、個人口座に金を流していた可能性を示しています。これまで笠氏は自らの口座への送金についてまったく言及していませんでした。これだけはっきりした証拠が出た以上、2000万円の使い道、入手先について笠氏は県民にきちんと説明する責任があります。