2004年2月1日 高知民報


裏金集めにタッチせず 小島盛治氏から百条委が事情聴取


自民党県議団が橋本大二郎県知事へのダメージを狙い仕掛けた「選挙資金疑惑」を調査している「県議会・坂本ダム等に関する調査特別委員会(百条委員会)」は1月22日、県東京事務所で橋本大二郎県知事の1期目の選挙の会計を担当していた小島盛治氏(80歳・横浜市在住)から事情聴取しました。聴取には百条委の各会派から8人が赴き、日本共産党と緑心会から牧義信議員が参加しました。
 聴取に先立ち15日に行われた笠誠一氏の証言は、小島氏が書いた手帳を見ながら日時など重要な点を訂正したものでしたので、当然のことながらこの日の小島氏の証言と基本的に一致するものになりました。しかし肝心の談合や「裏金」の流れについて小島氏は「笠氏がやっていたので知らない」と内容には踏み込まず、手帳以外の客観的な物証も出ませんでした。

■「笠氏は恩人」

 冒頭、小島氏は笠誠一氏との関係について、戦前「一人一殺」を掲げ血盟団事件に連座して投獄され、戦後は田中清玄につながる超大物右翼、中曽根康弘・細川護煕元首相らの指南役として政界に影響力を行使した四元義隆氏や、橋本知事の父・橋本龍伍元厚生大臣に笠誠一氏とともに師事していたと証言。「笠氏は単なる友達ではなく恩人だ」と強調し、これまでも笠氏と一体になって橋本知事以外の様々な選挙にも関わってきたと述べました。
 
■小島証言のポイント

 小島氏の手帳の記載は簡潔なもので、小島氏個人が関わったこと(面会した人物やドライブの行き先など)以外の具体的な内容の記述はほとんどないために、同氏はメモに基き、記憶をたどりながら証言しました。
 今回の小島氏の証言のポイントになるのは
@平成4年2月27日、入院した笠氏に代わって「大金」を、徳島銀行から送金したが、金額、送金先、目的などは思い出せない。
A平成4年2月28日に新進建設の小川武一社長から紙袋入りの金(500万か1000万円くらい)をもらった。笠氏に頼まれたものだったと思う。
B平成4年2月9日、選挙管理委員会に出す報告に記載できない支出の領収書をホテル佐渡で橋本知事に見せ、了承を得て処分した。という3点でした。

■不可解な新進建設からの金

 @15日の笠氏の証言では、この送金は熊谷組から調達した1億円のうちの3000万円を、町田照代氏に返却するために小島氏に頼んだ(自らが入院したため)としていましたが、小島氏は金額、送金先、目的などについて「忘却のかなた」と述べました。
 A笠氏のメモに記載されていた以外に新進建設から現金を受け取ったという話は、これまでまったく出てきていませんでした。事実ならば選挙が終わり、町田氏への返済のメドもたっているこの時期に笠氏は何を目的に小川社長に金を請求したのか不可解です。
 B小島氏は、「裏金集め」については直接タッチしておらず、詳しいことは知りませんでした。小島氏が知事に報告したのちに焼却したと主張したのは、選挙事務上のアルバイト代、飲食費、市町村段階の運動費、マンション家賃など選挙収支決算に載せるには適切でないと思われる支出の領収書で、「ダム工事の談合による裏金作り」とは次元の異なるものでした。
 またホテル佐渡に預けられた1億円は「聞いたことがある」と述べるにとどまり具体的な言及はせず、熊谷組の支店長との面識も否定。「坂本ダムの談合など全然知らなかった」と述べました。
 
 聴取に参加した牧義信議員の話 今回の出張尋問で小島氏が述べた内容には笠氏の証言を裏付けるようなものもあったが、元になっているのは小島氏の手帳のメモだけなので、結局は小島氏の記憶に頼るしかなく物証はなかった。1期目の選挙当時、笠氏と小島氏が一体になって、裏でいろいろ動いていたんだろうなという感じはしている。