「解同」県連が県教育長交渉 「確認学習会」復活を要求 県教委は介入を拒否
1月14日、部落解放同盟高知県連合会と県教育委員会の交渉が県庁北庁舎で行われ、「解同」側から野島達雄委員長、山戸庄治書記長、藤沢朋洋・高知市議、中山研心・高知市議らが、県教委側は大崎博澄・県教育長、藤本昌司・人権教育課長などが参加しました。交渉の中で「解同」側は橋本県政の同和行政終結に強い不満を示しながら、学校で「差別事件」が発生した際の学校介入を公然と要求しましたが、県教委は取り合いませんでした。
この日の交渉は「解同」側が提示した16項目の要望に基づき約2時間の話し合いがもたれました。「解同」県連は昨年11月の県知事選挙で橋本県政が同和行政を終結したことに強く反発して対立候補の松尾徹人氏を自民党らとともに支援。今回の交渉は選挙後初めてであり内容が注目されていました。
「解同」側が交渉の中でとりわけ強調していたのは、@「部落」内外の教育格差の実態把握、A学校で「差別事件」があった時に「解同」との話し合いを持つように、という2点でした。
■部落内外の格差調査に固執
「解同」側は「特別措置法が切れても部落差別はある。部落内外の格差の実態をしっかり調べるべきだ」と執拗に迫り、県教委が平成12年以降、同和地区を対象にした各種の調査に取り組んでいないことを強く非難しました。
藤本人権教育課長は「すべての地域を対象に、課題を抱える生徒一人一人を学校ごとに把握して対応する。同和地区と県全体を比較する調査は今後もやることにはならない」と一蹴しました。
部落内外の格差にあくまでもこだわる「解同」の主張は、子供の学力課題の解決を最優先に考えるのではなく、背景にあると「解同」が言っている「きびしい部落差別」という命題を導き出すことが自己目的化しています。そのため課題のある子供が学習面で何が足りないのかを考えるより、どこに住んいるのかということを問題視するというナンセンスな袋小路に入り込んでいます。これこそが時代錯誤の人権侵害であり、真の問題解決を阻むものです。
■「確認・学習会」復活を切望
この日の交渉で「解同」側がもう一つ強く要求したのが、「解同」の学校介入の復活でした。
学校で「差別事件」が起きた場合に、被差別当事者の痛みや願いを受け止める→当事者や当事者団体と話し合いを持つ→部落問題ならば我々「解同」と話し合うのが当然、という独特の“三段論法”で、事実上の「確認・学習会」をやらせろと露骨に要求。
出席した「解同」幹部からは「県教委がずっと取り組んできた差別事件への対応方針がいつどこで変わったのか。何の説明もないまま独善的な事件対応が続いている。同盟員からは県行政への不信がたくさん出ている」と「差別事件」が起きたとしても学校側が自主的に教育的対応をとっていることに激しく敵意をむきだしました。
藤本人権教育課長は、学校で起きた問題は教育課題として受け止め、解決の取り組みをすすめると述べ、「解同」の学校介入を拒否しました。
県教委は「きびしい部落差別が存在する」という旧態依然とした現状認識に依然としてたっており、用語面でも節々で「解放教育」を引きずる面がありながらも、実態調査や「差別事件」への対応の見解は、正論で説得力があり、橋本県政の同和行政終結のもと、県教委としても、もはや後戻りすることはありえないことを実感させる交渉でした。