男女共同参画条例に難癖 自民・公明・21県政会が「修正」
自・公・21が「修正」案を可決 傍聴の女性たちから怒りの声があがった
昨年12月24日に閉会した県議会12月定例会では、2年にわたって広範な県民の声を積み重ね作りあげた「県男女共同参画社会づくり条例」案が審議されましたが、自民党議員が条例案に難癖をつけ、県の審議会委員の数値目標、苦情処理機関の勧告権を削除する「修正」案を
自民党・21県政会・公明党の賛成多数(日本共産党と緑心会・県民クラブ、県政新風会、市民の声が反対)で可決しました。背景には知事選挙での意趣返し、各会派の党派的な思惑が見え隠れ。真に男女平等をすすめるための本質的な議論はほとんど聞かれずじまいでした。
執行部が提出した案は、県民各層の声をベースに練り上げたもので、1999年に施行された「男女共同参画社会基本法」の趣旨にのっとり、高知県の特質をふまえて具体化した内容。
基本理念である@性差による差別的な取り扱いを受けない。社会の各分野に個人として能力を発揮する機会の確保、A性差による固定的な役割分担意識が主体的で自由な生き方を制約することのないよう配慮、B女性と男性が対等な構成員として意思形成・決定に共同して参画する機会確保、C女性と男性が協力して子育・介護・家事で家族の一員としての役割を果たす、D互いの身体的特徴の違いの理解を深め、妊娠・出産で双方の意思を尊重する、E国際社会との協調という6つの柱を実現していくために県・県民・事業者の責務が定められています。
具体的には、男女平等教育推進、県の各種審議会の委員構成を「どちらか一方の性が4割未満にならない」数値目標(全国初)、セクハラ・DV被害者支援、男女共同参画を阻害する県事業や人権侵害への相談窓口である「苦情調整委員会」設置などを定めています。
■難癖
この案に噛みついたのが自民党県議団。24日の本会議では長老の結城健輔議員が討論に立ち、「執行部案には前文に男らしさ、女らしさを認める文章が入っていない」と不満を述べながらも理念に「賛同」したうえで、審議会委員の数値目標を「(いずれか一方の性が)4割未満とならないよう任命する」から「均衡するように務める」へと後退させ、苦情調整委員会の県への勧告権の削除という条例の骨格はすべて認めた上での限定的な問題に限って「修正」を求めました。
橋本県政4期目のスタートになんとかケチをつけたいという自民党県議団の思惑が先行し、「男は男らしく、女は女らしくのどこがいけないのか」、「男女共同参画は伝統的な価値観を壊す。日本固有の文化や専業主婦の否定につながる」などという理念面での「彼らなり」の本音を、県民の批判を恐れてオブラートした腰の引けた議論でお茶を濁したことから、主張がいかにも「精彩」を欠きました。
■大きな意義のある条例
日本共産党と緑心会の塚地佐智議員は「修正」に反対する討論に立ち「目標値を明確にして手だてをつくすべき」「勧告の対象は県機関であって個人ではない。効果的に是正させるために勧告は残すべきだ」と指摘しました。
採決の結果、「修正」されたとはいえ、可決された条例は「男女の違いを認める」などの意図的な語句が挿入されることもなく、苦情処理機関の設置をともなう全国的にみても大きな意義を持つ内容。女性団体からも「活用して実効ある条例にしていきたい」という声が上がっています。
同時に、県議会には男女共同参画社会実現の妨害勢力が根強いことが証明され、男女平等の実現にむけて県議会の刷新が不可欠であることが誰の目にも明らかになりました。
■不可解な動き
採決をめぐって不可解な動きをしたのが、親知事を自認する21県政会でした。
条例案が審議された19日の文化厚生委員会では、二神正三議員が「修正」に反対しましたが、岡崎俊一議員は賛成にまわり「修正」案が可決しました(反対していれば否決)。 本会議では委員会で反対した二神議員を含め同会の8人全員が「修正」に賛成し(反対していれば否決)、執行部にケチを付けようという自民党の思惑にまんまと乗る結果に。自民党を除名された議員でつくる県政新風会が「修正」に応じなかったこととは対照的でした。
※「修正」に賛成したのは自民14(議長除く)、21県政会8、公明3。反対は日本共産党と緑心会6、県民クラブ4、県政新風会3、市民の声1。