2003年11月21日 高知民報


「借用証の日付 は平成15年7月3日?」 県議会百条委が横矢・和住社長ら3人を尋問 笠証言と随所で食い違い 



             横矢社長の証人尋問

自民党県議団が知事選挙で現知事にダメージを与えることを狙って仕掛けた「選挙資金疑惑」に関する調査を行う「県議会・坂本ダム等に関する調査特別委員会(百条委員会)」が21日開かれ、横矢忠志・和住工業社長、池澤禮司・元県土木部副部長、永野博之・元熊谷組四国支店長の証人尋問が行われました。笠誠一氏がこれまで証言してきた「選挙資金疑惑」の核心部分がことごとく否定され、自民党県議団の思惑が大きく外れる皮肉な結果になりました。

横矢社長 知事への敵意むきだし

「疑惑」の仕掛け人・横矢氏の証言内容は、国分川右岸土地問題で、和住側が買った土地は、川の水面下ではなく現在の国有地の場所であるという主張を繰り返しました。

横矢氏は証言の中で、「平成3年に1300万円を笠氏に貸した」と述べましたが、金銭の授受を証明する第三者はいないこと、当時笠氏が名刺の裏に書いたとされる「借用証」は存在しないこと、あるのは平成15年7月3日に横矢氏が東京の笠氏宅を知事下ろしのための相談に訪れた際に書きかえたという証拠とは言えない「借用証」だけということが明らかになりました。現知事がこれらの資金の流れを承知していたということについても何一つ明らかになりませんでした。

国分川土地問題に県の担当者として深く関わっていた池澤元県土木部副部長に対しては、自民党の武石利彦議員が、県が一時期、和住側に有利に動こうとしたのは知事の指示を受けていたからではないかと執拗に質問しましたが、池澤氏は「知事や副知事から指示を受けたことはない」と否定しました。

笠氏が高知市内のホテルに4000万円の「裏金」を運んだ人物であると証言している、永野元熊谷組四国支店長は「笠氏に会ったことはなく、ホテルにも行ったこともない。新聞で知って驚いている」と笠証言を全面否定。自民党議員もとりつく島がなく、わずか30分程度で尋問を終えました。

自民党県議団の思惑外れる

知事選を有利に展開することを狙い強引に異例の3人の尋問を設定したこの日の委員会でしたが、終わってみれば、大山鳴動してネズミ一匹すら出ない有様。反知事派の県議も苦笑するような状態でした。3人の証言は、笠氏のこれまでの証言と随所で食い違い、笠氏の証言と「疑惑」の信用性はますます薄れる結果となり、反知事で意気投合した笠・横矢両氏の合作に見境もなく乗った自民党県議団の非常識さだけが残りました。

次回12月4日の委員会で、次に尋問する証人を決める予定ですが、今回の“空振り”の徒労感で自民党県議団がトーンダウンしているのは明らか。今後の実質的な審議は来年1月以降になる見通しです。