2003年10月11日 高知民報


100条委ごり押しに政治的意図  この機に利権構造の一掃を 牧義信県議の反対討論

討論に立つ牧義信議員

 10日の県議会本会議で日本共産党と緑心会の牧義信議員が行った「坂本ダム等に関する調査特別委員会」に地方自治法第100条の権限を付与することへの反対討論の要旨を紹介します。

 100条調査特別委員会の設置は、県議会や県政にとって政治的にも重要な責任を問われる決定だが、議会運営委員会での採決は、5対5の可否同数、委員長判断で可決という異例なものだった。全会一致を原則とする議会運営のあり方として、まず一致している110条による調査特別委員会設置からはじめるべき。意見の分かれた案件をごり押しすることには政治的意図を感じる。
 依光議員の質問の根拠は笠氏のメモだけだった。議運の笠氏の発言では、「何ら物証はない」ことが明言され、「橋本知事の4選阻止」が狙いであることもはっきり語られた。企画建設委員会の証言でも、新たなメモの存在や勘違いなど、メモそのものの信憑性に関わる疑念が増大している。名指しされた関係者からは、まっこうから反論が出されている。
 事の発端となった国分川河川敷問題には、特定の業者の不当な要求と、対応を誤った当時の県の問題があり、橋本知事が原則にたった毅然とした対応をしたことへ特定業者の脅しともいえる問題があり、7月3日の笠氏と業者の出会いで双方の政治的ねらいが一致したことも明らかになった。
 こうした経過を踏まえた責任ある対応が、 議会に求められている。いやしくも一方的な政治的狙いに乗ずる対応はするべきではない。
 笠氏の証言が事実とすれば、県の公共事業を取り巻く談合体質と建設業界の底知れない利権構造がある。県民の税金を食い物にする体質、企業献金について、我々は届出のある献金でも禁止しすべきと主張してきた。この機に、利権構造や特定の業者の不当な働きかけを一掃し、県民に透明な県政を実現するため、事態の徹底した解明が必要。そのために議会としての手順を踏んで、全議員が一致して取り組むべきだ。
 100条の付与が万能でないことは、ヤミ融資の貴重な経験からも明らか。委員会が強い権限をもつのは100条3項に「関係人が正当な理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、6ヶ月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する」と罰則を設けているからだが、それは「正当な理由がない」ことを議会の側が立証するだけの明確な根拠がなければ成り立たない。
 やみ融資では議会が確かな証拠に基づいて告発までやってようやく局面を変えることができた。
それだけの用意がなければ、権限の付与だけで問題が解決しないことはヤミ融資の貴重な教訓だ。
 議会運営委員会では、自民党委員が「100条にすれば、笠氏の証言も変わるかもしれない」と言っていたが、そんな曖昧なものにもとづいて議会は動いたのかとの感想を持った。
 国分川河川敷に関わる特定業者が「百条委員会でないと証言しない」と言っているようだが、疑惑を真に解明しようという立場なら、自ら進んで調査特別委員会で証言すべきだ。「まず百条ありき」の姿勢は、自身が火付け役であった経過からして、あまりにも意図的、政治的と思わざるを得ない。
 全会一致で設置した110条調査特別委員会は、重要な意味を持つ。まずこの場で、坂本ダム問題の県の内部調査や河川敷問題の当時の担当者の調査をはじめ、足元をしっかり固めることが大前提になる。よってただちに100条の権限を付与することについては反対する。


   自民、県民ク、公明の賛成多数で百条委設置をゴリ押し