2003年11月30日 高知民報


高知市長選挙にあたっての日本共産党の態度
                                                          2003年11月18日 
                          日本共産党高知県委員会 同高知地区委員会
              

 松尾徹人氏の無責任な市政なげだしによって高知市長選挙(11月23日告示、30日投票) が実施されることとなった。日本共産党は松尾市政について、特定の団体や個人の圧力に弱く、同和行政に固執し、野放図な大型事業の推進で空前の財政危機をつくり出したという認識をもっている。この継続を許さないという立場を基本としつつ、公正で民主的な市政への転換を一歩でも前進させるために、今回の市長選挙をめぐる情勢や、立候補予定者の政治姿勢、基本政策などを総合的に検討し、あえて独自候補を立てないという態度で臨むことを決定した。

 松尾氏は、利権政治の復活をめざす自民党県議団の策動にのって、9月定例市議会でも市民に何も語らず、市幹部にも相談せず、公約を果たすことなく、4年間の任期をわずか1年たらずで放棄し辞職した。このことは同氏の市民軽視と無責任さを如実に示している。
松尾市政は、大型公共事業を野放図に推進し、深刻な財政危機を生み出した。市議会でも、わが党の追及に、「これから借金返済の山が押し寄せる」「財政が破綻することがないように慎重に検討をしてまいりたい」と答弁せざるを得ない状況になっている。松尾市長のもとで生じた財政危機を乗りきり、市財政を再建するためには、松尾市政の継続ではなく、市政の明確な転換が必要である。
また松尾市政は、ゆがんだ同和行政に見られるように特定の圧力に弱く、筋を通せない弱点があった。特に全県的な流れに逆行して「同和問題は人権問題の柱」として、県下9市のうち唯一「同和対策課」を残している。このゆがみをキッパリ正し、特定勢力を特別扱いしたり、排除することのない「市民が主人公」の公正・民主の市政への転換が必要である。
さらに松尾氏は、異常なほど国に追随し、医療費負担増になる法案が提出されたときに「すみやかな成立をもとめる」と公式の場で発言したように、市民の立場から国に対して発言する姿勢にない。真の地方分権をすすめるためには、市民の立場、地方自治の立場で行動できる首長がもとめられている。
 今度の市長選挙は、このような松尾市政の継続を許さず、市民本位の市政改革への転換点としなければならない。

 高知市長選挙には、すでに岡内啓明氏と岡崎誠也氏、関谷徳氏が出馬表明している。
 民主党と社民党が推薦し、自民党県連も推薦の意向を示す岡崎氏は、「(松尾市政は)ハコもの建設が続き、少し市民との距離が出てきた。この距離をつめ直したい」「独自色を出す」と語っているが、出馬会見、事務所開きに松尾前市長が同席し「市政を託す」と語り、岡崎氏を事実上の後継者として扱っている。岡崎氏は松尾市政の継承を担っていると言わざるを得ない。 また市政の最大のガンになっている、ゆがんだ同和行政も継続する姿勢である。そして推薦願いを日本共産党以外の各政党に出すという共産党排除の立場にたっている。現時点では、わが党が推薦や支持をする対象にはならない。
 岡内氏は、政党の推薦を受けず草の根でたたかうことを表明している。岡内氏が11日に発表した政策には、市民の主体的で積極的な参加のもとに真の地方自治の確立、市民本位の行政サービスの徹底、透明性の高い市政運営などが示されている。また市の財政危機をもたらした「ハコ物」中心のまちづくりから、地産地消など地域の資源、文化、人材を生かしたまちづくりへの転換が示されている。これらは、市民本位の市政への転換にとって、重要で注目に値する内容である。

 これまで日本共産党は重要な首長選挙には公認、推薦などの候補者を立て、住民に地方政治の問題点、課題を明らかにするとともに、住民の暮らしを守るために奮闘してきた。同時に、わが党が与党ではない自治体でも、「自治体らしい自治体」をめざす新しい流れが生まれていることを重視し、首長選挙で対立候補をたてずに、是々非々で、問題点は率直に批判し、積極面を発展させるために奮闘するという立場をとっている。
 いま市民の中には、「市政を刷新し、再建してほしい」という多くの声があり、この切実な声に応えることが求められている。とくに今回の市長選挙は、自民党執行部や県議団、「解同」などが知事選挙に松尾前市長をかつぎだし、古い利権政治の復活に総力をあげている特殊な状況のもとでたたかわれる。こうしたなかで、「反松尾」の世論と幅広い県民の共同の流れも生まれている。

 これらの要素を総合的に判断した結果、松尾市政の継続を許さず、公正で民主的な市政への転換を一歩でも前進させるという立場から、独自候補を立てないという新しい対応をすることにした。また新しい市長のもとでの市議会では、これまでどおり是々非々の立場にたって野党として、市民要求の実現、市財政の再建のため、引き続き全力で奮闘する。